「中途半端な守備戦術で、”国見高校旋風”再びとはならず」高校サッカー選手権 準々決勝 流通経済大柏-長崎総合科学大学附属

かつて国見高校でを率いて旋風を巻き起こした小嶺監督が指揮を取り、前回王者で今年も優勝候補筆頭だった青森山田をベスト16で破った長崎総合科学大附と、同じく優勝候補である流経大柏との注目の対戦。

どちらもフォーメーション的には4バックで大きく変わらないのだが、長崎の方はラインを揃える事よりも相手の2トップに対してしっかりCBがマンマークする事に専念し、ボールを奪うと前線の選手めがけて素早く長いパスを入れるという国見っぽいスタイル。

それに対し流経大柏のほうは、あくまでゾーン・ディフェンスがベースで、前からしっかりプレスをかけて行く守備で、攻撃は人に出すというよりもスペースへとパスを送り、そこに選手がオートマティックに動くコレクティブな攻撃になっている。

前半はどちらも厳しい守備で、1度長崎のスローインが直接ゴールに入ってノーゴールになった以外は決定機が無くがっぷり四つ。しかし時間が経つにつれ、長崎のマンマークが徐々に流経大柏のダイアゴナルランによる飛び出しに付いて行けなくなり、ゴール前でフリーな選手が生まれるようになる。

そして後半4分、流経大柏はロングスローに競り合った後フリーになった関川が決めて先制点を決めると、9分には自陣ゴールキックから長崎の守備の数が揃わないうちにオーバーラップした菊池が決めて2点目をゲットする。

長崎もその後は反撃し、23分にはロングスローからフリーでシュートを放つも枠外、30分にもカウンターからのクロスをゴール前で競り合ったのがファールになり、38分にもロングスローから荒木が競り合いに勝ってシュートするもGK正面とチャンスで決められない。

逆に後半40分、これも長崎がロングボールに対するセカンドボールの予測を誤り、裏への浮き球パスに反応した熊崎がしっかり決めてダメ押しの3点目。そしてそのまま試合終了、準決勝は流経大柏と矢板中央との対戦になった。

長崎総科大附は、セレッソ大阪への加入が内定しているエース安藤の不在が大きかったのと、ロングスローとロングボールという武器を流経大柏に研究され、逆に流経大柏がそのお株を奪うゴールを決められての完敗。戦術ももっと徹底したマンマークかと思ったら、ちょっと対応が中途半端で小嶺監督らしくない甘さが見えたかなと。

しかし戦術的には流経大柏より洗練されていると思った大阪桐蔭が3回戦で敗れ、青森山田もこの長崎に負けるなど、トーナメントは本当にわからないね。ベスト4も優勝候補といえるのは流経大柏と前橋育英だし、まだまだアップセットが生まれるのかもしれない。