「主将が吉田で辛抱しきれず負ける悪循環、次こそは断ち切れるのか」イングランド・プレミアリーグ第18節 チェルシー-サウサンプトン

13節のエヴァートン戦で4点を取って勝利してから、またも得点力不足が再発して4試合勝ちが無いサウサンプトン。今節は強豪チェルシー相手のアウェイ戦だが、その厳しい懐事情を象徴するかのような試合になってしまった。

サウサンプトンのフォーメーションは5-4-1で、冬の移籍で頭が一杯なのかレスター戦で無気力プレイを見せたファン・ダイクが先発から外れ、吉田がセンターで両脇がスティーブンスとフートの3CB。対するチェルシーはモラタがベンチで、フォーメーションとしては3-4-3だが3トップのアザール、ウィリアン、ペドロは自由にポジションチェンジをしてボールに絡む実質ゼロトップというサッカー。

試合はもちろんチェルシーがボールを支配。サウサンプトンは自陣の低い位置に5-4のコンパクトなゾーンを引いて守るものの、ウィリアンとアザールは狭いスペースでも個人で打開するスキルがあり、そこにペドロやマルコス・アロンソが絡んで左サイドを中心にサウサンプトンを攻め立てる。

が、サウサンプトンもGKフォースターの好セーブなどで何とか耐え忍び、ボールを奪ったらボランチのロメウとホイビュルクがしっかりボールを捌き、レッドモンドやバートランドがチェルシー3バック両側のスペースへ走ってボールを受けるなど、落ち着いた対応でチェルシーの攻撃を受け流す。

そして何とかハーフタイムまで持ち込めそうに思った前半ロスタイム、パスを受けたアザールに対して吉田がマークに行くも、体を入れ替わられてアザールが抜け出したところで、後ろから吉田がスライディングで止めてイエローカード。そのFKに対してサウサンプトンは5枚の壁を作ったのだが、マルコス・アロンソにその外側を巻いて落ちるFKを決められ、サウサンプトンにとってはもったいない先制点を与えてしまう。

吉田はアザールとマッチアップする事が多く、体を投げ出して間一髪シュートを防いだシーンなど頑張った場面もいくつかあったのだが、全体的には1対1は劣勢で厳しい90分だった。まあアザール相手にデュエルで互角以上だったらビッグクラブがほっとかないわけで、吉田にそれを要求するのは無理があるのだが、主将という立場だから余計に批判の矢面に立たされてしまうのは仕方ないところか。

後半もチェルシーの攻勢は続くが、前半はラインを崩さずバランスを取っていた吉田が、前に出て相手のポストプレイを止めるようになるなど、サウサンプトンも少し押し返してボールを持てる時間帯を作るのだが、サウサンプトンの前線からはまったく得点の気配が感じられない。

ここでペジェグリーノ監督は1トップのガッビアディーニに代えてオースティンを投入すると、いきなり後半16分にホイビュルクのスルーパスからチェルシーのDFラインの中を割ってシュート、これはクルトワにセーブされたがそれまでサウサンプトンには皆無だった決定的なチャンスを作り出す。

その後は23分にアザールのポストから交代で入ったセスクがゴールもオフサイド、35分にブファルが粘って出したスルーパスに飛び出したオースティンのシュートをクルトワが体に当てて防ぎ、40分にはスティーブンスのクロスをオースティンが合わせるも右に外すなど、互いに決定機はあったが決めきれず、試合はそのまま1-0でチェルシーが勝利した。

サウサンプトンはこれで5試合未勝利で、降格圏まで勝ち点3と尻に火がつきつつある。ファン・ダイクがまた移籍志願で、得点力不足も解消できずと、チームにどんよりとした閉塞感が漂っているのが厳しい。そこを何とかしないといけないのが主将の役目だが、果たして吉田がその重責を果たすことが出来るのか、ここからハードスケジュールが続くだけに正念場である。