「ますますチームから”守備友”化を求められてしまう長友」イタリア・セリエA第11節 ヴェローナ-インテル

同じ都市を本拠地としながら、最近は新参のキエーヴォに水を開けられ、すっかりエレベータークラブ化してしまっている古豪ヴェローナ。今期もまだ1勝で降格圏内に沈んだ状態で、2位と好調のインテルと対戦。

ヴェローナのフォーメーションは4-4-2で、インテルはいつもの4-2-3-1。しかしヨーロッパでは3バック化の先陣を切ったイタリアが、最近ではどのクラブも4バックに回帰しつつあるのは面白いよね。

試合展開は、当然インテルがボールを保持してヴェローナが堅く守る形で始まるのだが、インテルの攻撃はダブルボランチの両方が右利きというのもあってか、ほとんどが右サイド経由で、左SHのペリシッチもボールがある方へどんどんと寄ってしまうので、左サイドはほとんど長友1人だけがポツンと残る状態になってしまっていた。

サンプドリア戦では、長友からイカルディやペリシッチのロングパスが効いていたんだけど、ヴェローナには裏へ走れるスペースが無く、縦のコースもカットされているので、長友がボールを持ってもバックパスしかする事がない。そして守備でも左のスペースを1人でカバーしないといけないので、数的不利になってフリーでクロスを上げられるなど、前半は散々な出来だった。

しかし前半36分、そこまでヴェローナを攻めあぐねていたインテルに先制点が生まれる。右サイドへの展開からカンドレーヴァがアーリークロス、ニアに飛び込んだイカルディに相手DFが釣られてしまい、裏にスルッと抜けたバレロがフリーで合わせてゴールを決める。

後半からは手堅く試合を進めようとしていたインテルだったが、思わぬ形で同点にされてしまう。後半10分に、バックパスに対して飛び出してインテルGKハンダノヴィッチが、相手と交錯した形で倒れてしまい、その場では流されたがビデオ判定でPKの審判が下り、古巣対決となった途中出場のパッツィーニがこれを決める。

イタリアでは、ビデオ判定をする時に主審が両手の人差し指で、四角く画面を作るゼスチャーをするんだけど、それを真似するヴェローナサポーターの姿も抜かれていて、それが何となく可愛かったね(笑)、

これでさらにヴェローナは勢いづいたが、そのままやられてしまわないのが今期のインテル。後半22分に左CKを得ると、そのこぼれ球にフリーで走り込んだペリシッチが豪快にボレーを叩き込んで2点目。ここまでペリシッチはシュートを外しまくっていたが、ようやく仕事をした格好。

前半は攻守で孤立していた長友も、後半は周りの選手がサポートしてくれるようになり、長友がアタックに行って他の選手がカバーという連携が機能し、その後はすっかり左サイドも安定。終盤には”カピターノ”サネッティばりのゴリブルも見せるなど、見せ場を作って何とか盛り返したので良かった。

それにしても、前半のようなイジメに近いぐらいな放置のされ方をしても、文句を言わず黙々とピッチを上下して戦術的に必要なポジションを取ってくれるのだから、そりゃ長友に対して23歳のダルベルトが取って代わるのは難しいよね。

試合はそのまま2-1でインテルが勝利したが、上位のナポリ、ユヴェントス、ラツィオもきっちり勝ってセリエAの勢力争いはそのまま。もはや団子状態のチキンレースと化した争いはまだまだ続きそうである。