「長友のように、サイドバックが”遠くを見るプレイ”をする重要性」イタリア・セリエA 第10節 インテル-サンプドリア

一昨日にナポリ戦を見たところなんだけど、想像以上にインテルが良いチームになっていたので、2日続けてインテルの試合を見てみる事にした。

上位とは勝ち点が離れているとは言え、サンプドリアはミランよりも上の順位にいるチームで、試合開始直後はむしろホームのインテルを押し込む展開になった。が、前節にサンプドリアよりも一回り上位互換なナポリ戦を経験しているインテルは、そのプレッシャーをあっさり受け流してしまう。

その中心になっていたのは長友で、左サイド高めの位置で長友がビルドアップからボールを受けると、相手は当然そこから縦パスが出ないようにコースを塞いで来るのだが、長友は裏抜けをするペリシッチや、ポストプレイに下がるイカルディに素早いタイミングで浮き球のパスを通し、そのためサンプドリアの中盤はバイタルをカバーするためにプレスの勢いを落とさざるを得なくなった。

長友からのロングパスという組み立てが確立すると、今度は右SBのダンブロージオの出番。長友よりも低い、3バックのように見える位置にポジションを取るのだが、ペリシッチやイカルディが長友からパスを受けると、相手のゾーンが寄って出来たスペースを使ってスルスルとオーバーラップ、サイドで基点を作ってドリブルやクロスでサンプドリアを攻め立てた。

そして前半18分に、CKからインテルCBシュクリニアルがGKと競り合いながら足で押し込みインテルが先制すると、32分に右サイドからのクロスがこぼれたところをイカルディが美しいボレーで決めて2点目。後半になって長友にも早めにマークが付いて、サンプドリアもハーフタイムで対策をして来たのだが、右サイドでスッと抜け出したペリシッチの折り返しをイカルディがきっちり流し込み3点目。

その後はナポリ戦から中2日のインテルはあからさまにペースを落とし、中盤のプレスが無くなってインテルの4バックが晒され、長友のサイドからクロスを上げられるなどでサンプドリアに1点差まで追いつかれるが、なんとかそのまま逃げ切って3-2で試合終了。ナポリもアウェイでジェノアに勝利したので順位は変わらないが、ガッチリと2位をキープした。

今までだったら、長友が頻繁にオーバーラップをしてダンブロージオが組み立てるのがインテルの定番だったのだが、相手の研究を逆手に取って左右の役割を入れ替えてしまい、なおかつそれをちゃんと機能させてしまうところが、スパレッティ監督の非凡なところである。

ビッグコミックスピリッツで連載中の「アオアシ」でも書かれている通り、現代サッカーでは比較的プレスを受けにくいSBがゲームメイカーになる事が求められていて、そこが内田以外の日本人SBには個人守備力以上に欠けている部分なのだが、長友がインテルでその役割を叩き込まれている事は来年のW杯に向けて心強い。まあ、長友や吉田が代表から居なくなる時代を考えるとゾッとするが・・・日本のDFで海外移籍をする選手がもっと増えて欲しいんだけどね~。