「イジメに近い過酷な戦術タスクをこなし、勝利に寄与した長友」イタリア・セリエA第8節 インテル-ACミラン

強力な補強をして好調なスタートを切ったものの、リーグ戦の連敗で早くもモンテッラ監督解任の噂が立っているミランと、内容的にはイマイチなれどここまで3失点と堅い守備で無敗を続けているインテル。167回目のミラノダービーは、そんな両チームの現状がきっちり反映された結末になった。

インテルのフォーメーションは4-2-3-1で、ミランは3-1-4-2という形。試合の序盤は、中盤で数的優位に立つインテルがボールを保持するものの、守備時にはWBが下がって5バックでサイドのスペースを埋めるミラン守備の前に、インテルは長友がオーバーラップしてもボールが繋げられず、長友とペリシッチのラインも閉じられ、イカルディは裏抜けを狙うばかりでポストプレイも無く、攻めあぐねる展開が続く。

が、インテルはトップ下に入ったバレロの幅広い動きで中盤にポイントを作ると、そのバレロの切れ込みからパスを受けたカンドレーヴァがミドルシュート、これはクロスバーに当たって決まらなかったが、28分にインテルは右サイドでボールを奪うと、ダンブロージオからカンドレーヴァと繋ぎ、アーリークロスをイカルディがコースを変えてインテルが先制点をゲットする。

前半はそのまま静かに終了したのだが、後半になるとミランの猛反撃が始まる。存在感が無かったケシエを下げて、FWに入ったクトローネ前後左右に幅広く動いてスペースを作ると同時に、右WBのボリーニが前線の位置まで上がり、スソを右インサイドハーフに置くなど、長友のサイドを重点的に攻めるように戦術変更。これが早速実り、後半10分にサイドチェンジからボリーニが基点となり、パスを受けたスソが中へ切れ込みゴールポストを巻くミドルシュートを決めてミランが追いつく。

その後も勢いに乗ったミランが5トップ状態でインテルを攻め立てるものの、インテルはGKハンダノヴィッチの奮闘で何とか得点を許さず、逆に後半18分、ビリアのボールを奪ったイカルディから左サイドでパスを受けたペリシッチがドリブル、マイナスのクロスをイカルディがアウトで合わせる技アリのドッピエッタで、インテルがミランの一瞬のスキを付いて再びリードする。

失点でミランの勢いが落ちたところを見たモンテッラ監督は、リカルド・ロドリゲスをCBに下げてロカテッリを中盤に投入してボール支配を復活させると、リカルド・ロドリゲスから右サイドのボリーニにまたサイドチェンジが渡り、アーリークロスにファーで飛び込んだボナヴェントゥーラが足を投げ出し、シュートはハンダノヴィッチがギリギリ防いだように見えたが、ボールがハンダノヴィッチの足に当たって今度こそゴールマウスに転がりミランが再び同点。

これでダービーらしく、またドロー決着になるかと思われたが、インテルは最後にエデルを入れてスペースへと飛び出す形を作って後半45分にCKをゲットすると、ファーに飛び込んだダンブロージオをリカルド・ロドリゲスが後ろから抱えて倒してしまい、ややシミュレーション気味ではあったが判定はPK。これをイカルディがきっちり決めてトリプレッタ。インテルがラッキーな形でミラノダービーを制した。

長友は、前半は縦のコースを消されて仕方なくイカルディにロングボールを出すもタイミングが合わず、後半はボリーニとスソというドリブラーに1対2での対応を強いられるなど、相手の戦術に散々苦しめられたが、何とかボロは出さず最低限のタスクはこなしたという感じ。もっと攻撃で存在感が出せればと思うが、まあ仕方ないところか。チームは勝ったので良かったとしよう。