「日本の強さを認め、最大限のリスペクトを示したフランス」U-17ワールドカップ グループE 日本-フランス
- 2017.10.12
- ユース代表
グループリーグ最大のライバルとは言え、U-17ワールドカップの欧州予選で4位だったフランスが相手という事で、楽観視する向きも多かった試合だったが、蓋を開けてみれば日本は初戦で見せたような攻撃力をほぼ見せる事無く、1-2というスコア以上の完敗を喫してしまった。
その最も大きな理由は、フランスが日本をとことん研究して日本の長所を消して短所を突くサッカーを徹底して来た事にある。
フランスのフォーメーションは4-1-4-1で、日本の宮代と久保の2トップにはCBとアンカーの4番が常に数的優位を作ってマークしつつ縦パスのコースを消し、中村に対してはSBがマンマーク、平川と奥野のボランチには相手のインサイドハーフが対応し、日本のビルドアップを完全に寸断させた。
こういう場合は、平川か奥野が下がり、SBが上がってビルドアップを助けるのが常套手段なのだが、日本はボランチがあまり下がらず、仕方なく低い位置のSBに送ってはまたCBにバックパスという無駄なポゼッションを強いられてしまった。奥野の方は平川に比べてややマークが緩かった分、ボールを持てたが福岡不在の影響は大きくゲームのコントロールが出来なかった。
そしてホンジュラス戦でも危惧していた通り、日本のボランチがあっさりポストプレイで前を向かせてしまうところと、SBの裏にスペースが出来る欠点を徹底的にフランスは突いて来た。10番のカクレがフリーマンのように日本の中盤に下がってパスを受け、ボランチが対応しきれないまま反転を許し、そこから右SB菅原が上がったスペースに、アドリとピントールを交互に走らせて序盤からチャンスを作り、前半13分にプラン通りの形で先制点を奪ってみせた。
日本は前半の終わりごろになって、中村に比べると相手のマークが甘かった上月が、中盤と前線をリンクするようになって何度かPA内へと侵入したが、宮代のトラップが足元に入ってしまうなど好機を活かせず、後半になると前線の選手に疲れが見えるようになって日本はポゼッションの割にチャンスを作れなくなり、集中力を欠いたところでフランスの追加点。
日本は後半28分にPKを獲得して1点差に迫ったものの、その後は運動量が落ちて攻撃のサポートが無く、右SHへポジションを移した久保も、フランス選手との大人と子供のようなフィジカルの差に対して、ムキになってドリブルで突っ込むばかりで冷静さを欠き、そのまま同点の緒をつかめないままに試合終了。グループリーグ突破に問題は無いが、決勝トーナメントでの戦いに不安が残る内容と結果になってしまった。
フランスと異なり、日本はホンジュラス戦とほぼ同じような戦術で臨んだわけだが、結果論だけで言えば中村をFWにして久保をSHに置いたほうが、まだ攻撃の形は作れたかもしれない。宮代もフランスクラスのフィジカルが相手になると基点になれないので、決勝トーナメント4-2-3-1にして中盤を厚くする事も考慮したほうがいいのではないだろうか。
とは言え、フランスがこれだけ日本の良さを消すサッカーをやって来たのも、日本の強さを認めて最大限にリスペクトしていた証拠でもあり、いくら親善試合を積み重ねても決して得られない貴重な経験でもある。こういう試合を乗り越えて、彼らには本当の成長を見せてもらいたい。
-
前の記事
「何度でも”自分たちのサッカー”を蘇らせてしまう、日本サッカーの根深い病巣」キリンチャレンジカップ 日本-ハイチ 2017.10.11
-
次の記事
「出場32カ国中の23カ国が決定する中、オランダ、アメリカの常連国が敗退」ロシアW杯 各大陸予選の状況 2017.10.13