「酒井宏樹は完全に黒子だったが、目立たず勝利というのも大事な事」フランス・リーグアン第8節 ニース-マルセイユ

ここ2シーズンは、PSGとモナコ、リヨンと並んでフランスリーグの4強を形成しているニースと、優勝争い常連への復活を目指すマルセイユの南仏ダービー。

ニースはあのバロテッリとプレアが2トップの4-4-2で、マルセイユはエンジエの1トップに、2列目にオカンポス、パイェ、トヴァンを並べた最近はスタメンが固定されつつある4-2-3-1。もちろん酒井宏樹も右SBで先発。

試合の序盤はアウェイのマルセイユが積極的に前へ出て来たが、前半4分に右CKからいきなりロランドのマークを交わしたバロテッリがヘディングを決めてあっさりニースが先制。16分にも同じ右サイドのCKをマルセイユが跳ね返してこぼれたところでセリがミドル、これがマルセイユDFラミの背中に当たってコースが変わり、ニースが2点目を決めてしまう。

これでマルセイユにとって厳しい展開になったと思われたのだが、前半25分に右サイドでパイェが折り返したボールをザンボがダイレクトクロス、これをDFラインからスルッと抜け出したオカンポスがフリーで押し込み、マルセイユが早いタイミングで1点差に戻す。そこからしばらくは、4-4のコンパクトなゾーンを引いて守るニースをマルセイユが攻めあぐねる展開になったが、前半の終盤から一気に試合が動く。

マルセイユは前半39分、左からのクロスが流れたところをトヴァンが拾ってクロスを上げると、これがスライディングしていたレース・メルに当たってオウンゴールとなり、44分には相手のミスパスを拾ったグスタヴォがミドルシュート、これはニースGKカルディナルが辛うじて弾いたものの、浮いたボールをオカンポスがサクッと押し込んでマルセイユが前半のうちに逆転すると、後半3分にダンテのミスパスをカットしたルイス・グスタヴォがゴール左隅にシュートを決めて4点目。

ここからニースは当然猛反撃、4点目の直後にプレアがPA内で酒井に足を引っ掛けられたように見えたが、これはダイブで逆にイエローの判定となり、14分にはマルセイユGKマンダンダが強烈なバロテッリのシュートをファインセーブと、何とかマルセイユがギリギリで攻撃を防いでいたが、21分にルイス・グスタヴォが足の裏を見せたスライディングで一発退場、さらにマルセイユはピンチに陥ってしまう。

が、ここで踏ん張ったのがマルセイユの守備陣。酒井はほとんどオーバーラップをせずDFラインに留まり、ガナゴ、マルシャンと絶え間なく左サイドを上がってくる選手をマークしに行き、またラインに戻ってPAの中でカバーする仕事を粛々とこなし、GKマンダンダはそこから浴びせられた8本ものシュートを最後まで防ぎきり、試合はそのまま4-2で終了。マルセイユはガッチリ3位をキープした。

酒井個人はあまり目立たなかったが、前半は右サイドに上がってトヴァンやパイェとトライアングルを作ってフォローし、後半は守備の人として危なげなくプレイ。こういう劇的な試合で黒子に徹し、しっかり勝利のために90分戦うという事も非常に大事な事なんだよね。