「香川の芸術的なゴールで、ドルトムントの”不思議な勝ち”はまだまだ続く」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 アウクスブルク-ボルシア・ドルトムント

ハイライン・ハイプレスという、いわゆる「ひたすらグーしか出さない」サッカーを愚直に推し進めているドルトムントのボス監督。ここまでのリーグ戦ではその作戦が上手く行って首位に立っているが、そろそろ各チームが研究しだして苦戦をするタイミングが来るんじゃないかと思っていたが、やはりアウグスブルクでその懸念が見え始めたかなと。

前半4分に、香川のミドルシュートから得た左CKを香川自身が蹴ると、PA内で相手を背にしながら足元にボールを納めたヤルモレンコが、とっさの判断でヒールキックをするとそれがGKの脇を抜けるゴールになって幸先よく先制点をものにするが、その後はアウグスブルクのフィジカルを全面に出したサッカーに苦しめられる。

ドルトムントの長所も短所もハリルホジッチ・ジャパンに似ているところがあり、4バックのゾーンがボールサイドに寄ってかなりコンパクトになるため、ファーサイドに大きなスペースが空いてしまう。前半11分に失点がその典型例で、右SBのピシュチェクがDFラインに吸収された状態で、サイドをカバーしようとしていたのは香川のみ、そして香川が追いつけないうちにアーリークロスを蹴られ、カイウビーに頭一つ抜け出されてヘディングを決められてしまった。

しかしそのピンチを香川が救う。前半23分にドルトムントが蹴り出したロングボールを、アウグスブルクの選手がお見合いして後逸、それを拾ったオーバメヤンからの折り返しをヤルモレンコがはたき、香川がチップキックで美しい軌跡を描くループシュートをファーサイドに決めてドルトムントが再びリードを奪う。

後半になると、アウグスブルクはさらにフィンボガソン、グレゴリッチュ、カイウビーと高さのある前線にロングボールを集め、セカンドボールにプレスをかける戦術に特化し、フィジカルに欠けるドルトムントはズルズルとラインを下げられ、香川の頭上をドルトムントDFが苦し紛れにクリアしたボールが飛び交うのみ。

それでもドルトムントは何とか耐え忍び、後半25分にオーバメヤンが放った完全フリーのヘッドはGKの正面に飛んでしまったが、32分にドルトムントのCKでクジャチョルがピシュチェクのユニフォームを引っ張って倒し、その時点では審判に流されたが何故か2分後にVARでPKの判定が出てしまう。が、オーバメヤンのパネンカをゴールキーパーヒッツが完全に読んでいてあっさりキャッチというトホホな展開。

後半35分には香川も交代し、結局は後半に限るとシュート数はアウグスブルクの7本に対してドルトムントが4本と、ほぼほぼアウグスブルクのペースだったがドルトムントGKビュルキの奮闘もあって、何とかドルトムントは香川の決勝ゴールを守りきって勝利。バイエルンがヘルタに引き分け、ホッフェンハイムがフライブルクに負けたおかげで、ドルトムントは2位に勝ち点5差を付ける首位固めとなった。

相変わらず負けてもおかしくない試合内容なのに勝ってしまったという試合だが、久々に先発した香川が数少ないチャンスをモノに出来たのは良かった。戦術の方向性はブレなくても、ターンオーバーをしつつ選手の組み合わせについてはまだ手探り状態・・・つーか、そろそろ固める部分は固めたほうがいいのではないかと思うが、香川が先発する機会は間違いなくこれから増えて行くだろう。