「監督に出せない金を経験に出せるか」森保監督率いる東京五輪サッカー代表の可能性

昨日は野暮用で京都まで出かけており、疲れて帰って酒飲んでサックリ寝落ちしてしまったのでサッカーの試合は見られず。なので、昨日に報道があった東京五輪の男子サッカー代表監督に、森保氏が候補として一本化されたというニュースについて。

このニュースを見てまず驚いたのは、人選どうこうよりもこれまでの五輪代表監督の年俸がたったの3500万円前後だったという点ですよね。

タカク氏のTweetが全てを語ってくれてますが、中国のリッピ監督の年俸22億円からすると実に1/63。ハリルホジッチもそうですが、世界レベルでは監督業とはコーチングスタッフも含めたチームと契約するものであり、3500万円という予算はその可能性はハナから破棄しているようなものですからね。

Jリーグの場合も、だいたい監督がクビになるとコーチが昇格する場合が多く、監督とコーチの役割が非常に曖昧です。スカウティングや戦術が高度化している現代サッカーでは、実作業はコーチやスタッフに任せ、監督本人はディレクター、マネージャーとしての役割がメインになっている事を考えると、いかに日本においては監督業という概念が世界から周回遅れになっているのかを痛感します。

それはさておき森保氏という人選ですが、まあ現在の日本人監督としては実績面でも能力面でも妥当なところかなと思います。他にも何人かの候補者が揚がってましたが、長谷川氏はあまりに戦術面が弱いし、反町氏はどうせ豊富な戦力を使い切れないし、石井氏は五輪代表を任せるには世界経験が少なすぎます。

日本はアトランタ五輪から6大会連続で出場権を得ていますが、その中で決勝トーナメントへ進んだのはシドニーとロンドンの2回のみ。グループリーグで敗退した残りの4大会のうち、初戦で勝利したのは「マイアミの奇跡」を起こしたアトランタ大会のみで、他は全て初戦に敗れています。つまり、初戦でスペインに勝ったロンドン大会以外は大会への入り方を間違えたがために敗退してしまった、世界経験の少なさが致命傷になったと言えるわけです。

もっとも、日本人監督で唯一決勝トーナメントへ進出したロンドン大会の関塚氏の場合、監督よりもOAの吉田が中心となってチームを作ったと言えるのだから皮肉なものです(笑)。それだけ、普段から世界と接している経験を持っている事が、こういう一発勝負の世界大会では重要なのだと思います。

森保氏の場合、選手時代やACLを率いたアジアの経験は豊富ですが、世界レベルはやはり弱く、そういう点では不安は大きいと言えます。開催国の日本は予選が免除になるので、協会がどれだけアウェイでの親善試合を多く組めるか。監督の予算はケチっているのだから、そういう部分に金と力を使って欲しいものですなあ。