「悪い流れに陥りかけたチームを救った、”トップ下”香川の先制点」ドイツ・ブンデスリーガ第5節 ハンブルガーSV-ボルシア・ドルトムント

チャンピオンズリーグのスパーズ戦は完敗したものの、怪我人が続出しているにも関わらずリーグでは4戦負け無しで首位に立っているドルトムント。今節は香川が4-3-3のインサイドハーフでスタメンに並び、同じくSBで先発に復帰した酒井高徳のHSVと対戦した。

ホームのHSVは試合開始からドルトムントに激しいプレスを仕掛け、ボールを奪うとSBの裏へと走り込む1トップのウッドにすぐさまパスを出し、2列目が飛び出す危険なカウンターを繰り出して来る。しかし悲しいかな、スパーズとは違ってHSVは前線の決定力が無く、せっかくフリーでクロスという場面を作っても中とタイミングが合わなかったりで、不安定なドルトムントの守備陣を破ることが出来ない。

ドルトムントのほうも、HSVのハイラインを前線がくぐり抜けて決定的なチャンスを作るのだが、8分のPA内左から放ったプリシッチのシュートは枠をそれ、16分には右サイドからのクロスに飛び込んだオーバメヤンのヘッドはゴールポストと、こちらも同じくチャンスをモノに出来ない。

しかし前半24分、それまで互いにハイプレスでボールを前線に蹴り合うだけで存在感が無かった香川が、ゴール右で得たヤルモレンコのFKからトプラクが落としたボールがゴール前に居た香川に当たり、香川がそれを落ち着いてGKの上を抜くシュートを決め、流れが悪かったドルトムントがようやく先制点をゲットする。

これでドルトムントも少し落ち着いたのか、得点以降は香川がインサイドハーフというよりはトップ下のようになって前線に絡むことが多くなり、前半32分にはヤルモレンコに素晴らしいスルーパスを通すが、そこから繋いだプリシッチのシュートはゴールキーパーに阻まれる。

前半に何でもないパスを2度もトラップミスでラインを割ってしまったり、32分には相手の足を削ってイエローカードを受けるなど試合に入れていなかった酒井高徳も、37分、40分と良い縦パスを出すなどようやく調子が出て来たものの、後半3分にドウグラスと交代してしまったのが残念。

後半も前半と同じように蹴り合いの展開が続いたが、17分に 香川のパスを起点にヤルモレンコがドリブルで突破、相手の股を狙ったシュートが足に当たって勢いが落ち、ちょうどファーサイドに走り込んだオーバメヤンへのバスになってドルトムントが2点目をゲット。そして20分に香川はダフードと交代してお役御免。

この2点目で意気消沈したHSVに対し、ドルトムントは後半30分にオーバメヤンが完璧なスルーパスからのどフリーシュートは枠を外れたものの、35分にダフードがボールを持ち上がってPAに侵入、パスを受けた プリシッチが角度のないところからシュートを決めて3点目、これで完全に勝負あり。

まあ終わってみれば3-0の完勝だが、特に前半は攻撃陣と守備陣の連動性に欠けて中盤が広く空いた場面も多く、相手がHSVだから良かったものの、まだまだドルトムントは守備戦術の修正が必要な様子。香川はインサイドハーフで起用されていたが、ハリルホジッチジャパンの場合と同様に、ハイプレス戦術ならトップ下でゴールに絡む仕事に専念したほうが効果的なように思う。このゴールが、ボス監督にとってそのヒントになればいいんだけどね。