「窮余の策である”偽9番”が、ネイマールロスに悩むバルサの最適解となるのだろうか」UEFAチャンピオンズリーグ グループD バルセロナ-ユベントス

ネイマールがPSGに電撃移籍した後、スペイン・スーパーカップではレアル・マドリーに惨敗、今期はどん底のシーズンになるかと思われたバルセロナだが、蓋を開けてみれば開幕から3連勝を飾ったのに対し、レアルはまだ1勝と正反対のスタートになるのだから、本当にサッカーとは分からないものである。

そのバルサが今期のチャンピオンズリーグで初対戦となったのは、昨シーズンの準々決勝で堅い守備を崩れずトータルで0-3の完敗を喫した相手であるユベントス。そして今回もどちらかと言うとユベントスのペースで試合は始まった。

ユーベのフォーメーションは4-4-1-1で、非常にコンパクトな守備から危険なカウンターを繰り出し、前半9分にはシュートこそヒットしなかったがディバラがDFライン裏へ抜け出す惜しいチャンスを作り、デシーリオやピアニッチが鋭いシュートを放つなど、アウェイゲームのお手本と言えるサッカーを展開する。

バルサの方は形的にはいつもの4-3-3だが、スアレスではなくメッシをトップに置いて、左がスアレス、右がドルトムントから加入したデンベレという、メッシが「偽9番」のような役割を担った戦術で、サイドに張ったデンベレがボールの推進役として機能していたのに対し、スアレスの役割がいまいちハッキリせず、ポゼッションはしながらもなかなか決定機が作れない。

ところが前半41分にデシーリオが負傷で退場、代わりにストゥラーロを入れた事が試合のターニングポイントになってしまった。これで左サイドの守備がゆるくなったところをバルサが見逃さず、前半のロスタイムにアルバの上がりにストゥラーロが付いて行って出来たスペースをメッシが使い、ドリブルからワンツーを仕掛け、ユーベはカバーに入ったのだがメッシは迷わず股を抜くシュートを打つと、ブッフォンは一歩も動けずボールはゴール右サイドにぎりぎり決まってバルサが先制する。

後半開始早々にも、ユーベは左サイドから決定的なクロスがディバラに渡ったのだが、大きくふかしてしまってまたもディバラが決められず。逆に後半6分にはメッシの強烈なミドルがポストを叩くと、11分にはまたもメッシが右サイドをドリブルで切り裂き、クロスはゴール前でクリアされたものの、こぼれ球をラキティッチが難なく押し込んでバルサが2点目。

代表戦の不振がウソのように、この試合のメッシは誰にも止められず、後半24分にはカウンターからメッシが中へと切れ込み、ブッフォンが全く反応できない完璧なシュートを右に決めて3点目、これで試合は決まってしまった。逆に同じアルゼンチン代表としてメッシとともに先発していたディバラの方は、チームが怪我人だらけで連携の問題はあったのだろうが、少なくとも2度の決定機を決められず良いところ無し。アルゼンチンの新旧スターは対照的な内容と結果になってしまった。

バルサは、窮余の策であるメッシをトップに置いた「偽9番」が功を奏した格好になった。これだとメッシがあちこちふらついてもポジションバランスは崩れにくいし、連携はまだ悪いがデンベレで中盤と前線は何とか繋がる。懸案だった右SBもセメドが使える目処が立ち、メッシ依存の度合いはさらに大きくはなるが、とりあえず現時点での最適解は見つかったと言えるかもしれない。