「ローマ遺跡のようなサッカーのイタリア、プレーオフ行きが濃厚になる完敗」ロシアW杯欧州予選 グループG スペイン-イタリア

ともに3位に7差の勝ち点16で並び、完全なスペインとイタリアの一騎打ち状態になっているグループG。事実上の自動出場枠をかけた直接対決は、ホームのスペインが3-0で快勝、イタリアホームの試合はドローで終わっているため、残り3節の相手を考えてもイタリアがプレーオフに回ることが濃厚になった。

スペインのフォーメーションは並び的には4-3-3だが、前線の3人、アセンシオ、ダビド・シルバ、イスコは自由にポジションを変える0トップというべきサッカーで、イタリアはそれに対して4-4-2のフォーメーションで自陣にコンパクトな2ラインディフェンスを構築する形で対抗した。

試合は序盤からホームのスペインが高い位置からプレスを仕掛け、イタリアはサイドを中心にカウンターで対抗しようとするも、前半の13分にアセンシオの抜け出しにイニエスタからスルーパスが渡り、ボヌッチが慌てて倒してFK。これをイスコがゴール左に直接突き刺してスペインが早速先制する。この場面、ブッフォンはやや右寄りにポジションを取っていたとは言え、全盛期なら弾いているコースだったように思う。

イタリアはその後もあまりラインは上げて来ず、相変わらずのカウンター狙い。21分には右サイドでダルミアンの抜け出しからピンポイントのクロスがFWのべロッティに入るものの、ヘディングはスペインGKデ・ヘアが体で防ぎイタリアはらしい攻撃でチャンスを作るも同点ならず。

しかし試合のペースはスペインが握り続け、前線の3人がイタリアのゾーンの中へ入り込むエントレリネアスを見せ、中盤のボール回しからイニエスタが針の穴を通すような縦パスを送る、そういう縦横の揺さぶりにイタリアの守備が徐々に遅れ始めると、39分にイニエスタのパスを受けたイスコが切り返しからグラウンダーのシュートをゴール右に決めてスペインが2点目。

後半になるとイタリアが反撃、3分にはインモービレからの折り返しをフリーになっていたヴェッラッティがシュートするも、コースが甘くてデ・ヘアに防がれる。その後も2点をリードしたスペインがハイプレスを止めたのもあって、イタリアがボールを保持する展開になるが、べロッティは前線に張っているだけでスペインのようにイタリアは守備陣を動かせず、クロスからべロッティのヘッドみたいな単発のチャンスしか作れない。

イタリアはべロッティに代えてエデルを投入するも、スペースが無い状況での効果は薄く、逆にスペインは後半32分にカウンターからセルヒオ・ラモスのパスを受けたモラタが冷静に流し込んで3点目。これで試合は事実上の終了、イタリアは諦めたのかその後はあまりペースを上げずに試合終了。

それにしてもゼロトップのスペインに4-4-2のゾーン・ディフェンスというのは、ペップ時代のバルサにスペインの各チームがチンチンにやられた相性の悪い戦術なのに、何故ヴェントゥーラ監督は4-1-4-1でバイタルを埋めたり、3バックでゼロトップの前線をマークで押さえ込む事をしなかったのか本当に不思議である。しかも攻撃は電柱のべロッティにクロスと、攻守においてローマ遺跡のような実に古臭いサッカーで、プレーオフにも不安が残る試合だった。

逆にスペインはイスコ、アセンシオというレアルの若手が躍動、その勢いに乗ってかイニエスタも久々にキレのあるプレイを見せて、イタリアに付け入るスキを与えない完勝。CBのピケとセルヒオ・ラモスの代えがいないのが弱点だが、ロシアW杯本番でも大きく期待が出来る内容と結果であった。