「柴崎が向かっている方向性は、香川じゃなくて岡崎だったという衝撃」スペイン・リーガエスパニョーラ第2節 ヘタフェ-セビージャ

開幕戦はアスレティック・ビルバオに対してアウェイで勝ち点1をゲットしたヘタフェは、第2節のホーム初戦でセビージャと対戦。柴崎はこの試合も4-2-3-1のトップ下で先発。

1週間前のチャンピオンズリーグ・プレーオフでイスタンブールBBSKを破って本戦への出場を決めたセビージャだが、ボールポゼッションではヘタフェを上回ってはいるものの、ビルドアップが不安定でしばしば中盤でパスミスをしてしまい、ヘタフェのショートカウンターを浴びてしまう。

柴崎はフォーメーション上ではトップ下だが、味方がボールを持つと何度も前線へ飛び出す動きを繰り返し、初戦とは違ってワンタッチパスではなくてしっかりボールをキープして味方に渡すなど、ほとんど2トップの一角のような体を張ったプレイで、しかもポジショニングとタイミング、ボールの予測が良いので本職と遜色ない働きが出来ていた。

前半16分には、柴崎がボールに2回絡んだパスワークから最後はアマトが完全なフリーになったが盛大にシュートを打ち上げ、33分には柴崎のスライディングで高い位置でボール奪取するもそのままアランバリが考えなしにロングシュート、36分にはPA右で抜け出したモリーナがシュートをGKに当て、40分にはまたも柴崎のタックルから出したスルーパスにアマトが追いつけずと、ヘタフェは柴崎を中心に多くのシュートチャンスを作るのだが得点出来ない。

ヘタフェのペースは後半に入っても変わらないままなのだが、どうしてもラストパスやクロスの精度が足りず、柴崎もハイペースで攻守に走り回った影響からか疲れが見え始め、あまりボールに絡めなくなったところでトップ下のライバルであるポルティージョと交代。ポルティージョは柴崎とは異なり明確にドリブラーなのだが、ボールを引き出す動きが無くて足元メインなので、あまり現状のヘタフェにとって効果的だとは思わない。しばらくは柴崎が優先的に起用されそうだ。

後半も30分を過ぎるとヘタフェのプレッシャーが落ち始め、ノリートにあっさり裏を取られるなど危ないシーンが出始めたなと思ったら、37分に右サイドからのクロスを中に入り込んだガンソがアウトサイドで軽く合わせるオシャレなシュートが決まって、そこまでシュート3本だったセビージャが逆に先制し、その後に猛攻を見せたヘタフェはやっぱり最後まで得点を決められず0-1で試合終了。

チームの決定力には大きな課題はあるし、チームメイトの中では柴崎とモリーナとは比較的意思の疎通が出来ているようだが、アマトは脳ミソ筋肉だしコンビネーション的にはまだまだ。しかし逆に言えばまだ伸びしろはあるとも言えるわけで、これから柴崎を中心に据えてチームを作って行けば、ある程度残留への可能性が見えてくるような気もする。

何より、毎試合ごとにきっちり自分の課題を洗い出して克服して行っている柴崎の姿は本当に頼もしい。前の試合ではワンタッチパスでフィジカルコンタクトから逃げていたのに、この試合では後半5分のように縦パスを受けてターンをしながら相手に背中から当たり、最悪でもファールをもらえるプレイをするなど、そこにいるのは柴崎じゃなくて岡崎なんじゃないかと思ってしまうぐらいだ。

鹿島では積極的に守備をせず中盤でフラフラと漂ってボールを受けるだけで、海外に移籍するとこんなポジショニングとフィジカルコンタクトではとても通用しないんじゃないかと危惧していたのだが、本人に向上心があってクレバーなら全く問題ないんだなと痛感させられる。まあ、柴崎ほどの頭脳を持った選手はそうそういないわけだが・・・

それにしても、柴崎の今後は香川のような選手に成長していくのかと思っていたのだが、あまりに現実適応能力が高くてチーム事情のために岡崎になりつつあるというのは衝撃的である。オーストラリア戦では、もし香川の調子が悪ければ柴崎をトップ下で使う事になるのだろうが、かえってその方が良いのではないかと思ったりする。試合展開にもよるだろうが、是非使ってみて欲しいところだね。