「あの”天才パサー”を思い出させる、森岡の王様プレイぶり」ベルギー・ジュピラー・プロリーグ第4節 ワースラント・ベヴェレン-ロケレン

ポーランドからベルギー1部リーグのワースラント・ベヴェレンに、クラブ史上最高額の移籍金で迎えられ、シーズンが始まったら4試合で2得点4アシストとベルギーで旋風を巻き起こしている森岡亮太。第4節のロケレン戦がDAZNで放送されていたので、彼のプレイに焦点を当ててレポート。

ベヴェレンのフォーメーションは4-2-3-1で森岡のポジションはトップ下なのだが、久保のヘントも同様、ベルギーリーグの例に漏れず森岡の位置にまで正確なパスを出せる選手がおらず、高い位置にいててもほとんどボールが回って来ない。

仕方なく、森岡がボランチまで下がってボールを受け、左右に正確なサイドチェンジを繰り出してようやくチームの攻撃が動き始める始末。そこから前に上がってバイタルで前を向いてボールを受け、今後は相手の股を抜くスルーパスや、ラインの裏へと浮き球のパスを通すなど、ゲームメイクとチャンスメイク、そしてセットプレイという攻撃の要所を全て任されている状態だった。

チームメイトも完全に森岡を信頼しているようで、森岡がボールを持てば周りの選手が一斉に駆け上がるので、さらに森岡にとってはいくつものパスコースが生まれ、彼の戦術眼とテクニックが活きると、チームに好循環が生まれている。そしてただパスを出すだけではなく、ゴール前に入って行くタイミングも悪くない。この試合でも、前半ロスタイムと後半39分に惜しいシュートを打つなど、得点の香りは十分感じさせた。

彼のプレイを見ていると、今や日本のレジェンドでもある、あの天才パサー小野伸二を思い起こさせる。彼ほどのワンタッチプレイのアイデア、テクニックの華麗さ、シュートのパンチ力は無いけど、チームでの役割の重要度を考えれば、既にフェイエノールト時代の小野よりも輝きを見せていると言えるかもしれない。

試合は残念ながら、前半のうちにミスとセットプレイがらみで3点を奪われて敗戦してしまったが、後半に左サイドを抜け出しての折り返し、そしてCKから森岡の2アシストで追い上げ、終盤に全体が前がかりになってからは、カウンターのピンチに森岡が必死で自陣まで走ってカバーしたりと、攻撃だけじゃないところを見せていた。

ただ、日本代表で彼をどこで使うかと考えると、役割的には柴崎や香川とかぶっているし、ボランチが出来るだけの守備力は無い。リーグのレベルを考えたら、よほどトップ下の選手が怪我で抜けない限りは厳しいかもしれない。これからステップアップを目指すなら、守備力を向上させて展開力が活きるボランチとして大成する事を目指すべきではないだろうか。