「ネイマールという屋台骨が抜けたバルサ、イチゴを欠いただけのレアルに完敗」スペイン・スーパーカップ第2レグ レアル・マドリー-バルセロナ

いやしかし、ネイマールの移籍で確実に影響は出るとは思っていたが、ここまでクリスティアーノ・ロナウド抜きのレアルに子供扱いされるとは、いささかショックな光景だった。

バルサはネイマールを欠いた穴埋めに3-1-4-2の3バックにしてメッシとスアレスの2トップにしたのだが、今まで守備陣と前線の繋ぎを1人で受け持ち、それでもボールを預けさえすれば低い位置からメッシまで確実にボールを運び、スアレスとメッシへのマークも分散させていたネイマールが居なくなった事で、完全にチームが前後分断してしまった。

おまけに3バックも完成度は極めて低く、CBがただ横に3人並んでいるだけで誰がアタックに行って誰がカバーに入るのかという連動性は皆無。前半4分に決められたアセンシオの無回転ミドルシュートは素晴らしかったが、バイタルエリアであれだけ時間の余裕を与えてしまっては当然の結果だろう。

そして現代的な3バックの場合、攻撃時には両WBが高い位置を取るミシャ式の5トップ、またはボールと逆サイドのWB、CBが高い位置にスライドしてビルドアップする形が定石なのだが、WBはマイボールになっても低い位置に留まったままで、基点はおろかビルドアップでさえままならない状態だった。

ただそれは戦術うんぬんではなく2トップの構成に問題があるとも言え、スアレスは厳しいマークを受けて孤立、メッシは第1レグと同様にアンカーのコバチッチに存在を消され、当然ながら前からそれほどプレスをかけないので全体を押し上げる蓋にもなれず、ボールを持たなければ攻守において全くの役立たずなのだから、誰が監督をやっても悩みは一緒だろう。

そんな中で、バルサは何とか自らのDNAを守るかのように、レアルに押し込まれながらも自陣からパスで組み立てようとするのだが、WBの位置は低いし2トップでボールを受けに降りて来るのはスアレスのみでは組み立てもままならず、苦し紛れなパスは簡単にレアルのプレスに引っかかってミスを連発してしまう。

案の定、前半39分にあっさりと右サイドでボールを奪われると、オーバーラップして来たマルセロにパスを出され、ユムティティの背後から飛び出したベンゼマに息の合ったクロスが渡り、ベンゼマはワントラップから反転してシュートを叩き込み、レアルがアグリゲートスコアで5-1としてほぼ試合を決定づけてしまう。

後半になるとレアルは前からプレスをほとんどかけなくなり、自陣でゾーンを組んで守るだけになったせいで、アンドレ・ゴメスとラキティッチがアンカー横のスペースでボールをさばき、バルサがボールを保持するようになるのだが、後半7分にメッシが裏へ抜け出してシュートを打つも、レアルGKナバスの手に当たってクロスバーと決定的なチャンスに決められない。

さらにバルサにとって不運な事に、後半30分にスアレスが怪我をしてその後はまともに動けなくなり、この時点で試合はほぼ終わってしまった。スアレスは結局最後までプレイはしたけど、試合後に4週間の離脱が発表されて開幕戦はアウト。MSNのうちMしか残らないという非常事態に陥った。

こうなったらバルサはコウチーニョとデンベレの獲得に望みをかけるしか無いのだが、29歳のパウリーニョに50億を費やし、リバプールにもドルトムントにも足元を見られた状態で果たしてバルサにどれだけの交渉カードが残っているのか。レアルのようにカンテラから若い選手を抜擢するようにならないと、暗黒期への突入は避けられないかもしれないね。