「果たして、杉本健勇はスペインリーグで通用するのだろうか?」J1第20節 セレッソ大阪-コンサドーレ札幌

前節の大阪ダービーで痛恨の敗戦を喫し、優勝争いを続ける上で立て直しが必須のセレッソと、結果的にペトロビッチ監督に引導を渡す勝利を浦和戦で飾ったコンサドーレ札幌の試合。

札幌のフォーメーションは3-4-3で注目のチャナティップは左ウイングで先発。対するセレッソは怪我の山村に代わってリカルド・サントスがFWの一角で先発した4-4-2。

いきなり試合開始26秒で試合は動く。ロングボールを札幌がクリアした後のボールをセレッソが拾い、リカルド・サントスが前を向いてドリブル、ゴール前のこぼれ球を杉本がダイレクトで蹴り込みセレッソが先制する。

その後も、リカルド・サントスが前線で体を張りつつ杉本が下がり気味でボールを受け、守備時には5-2-3のような形になる札幌の、ボランチの両脇に出来るスペースを柿谷が使い、丸橋やソウザがパスコースを作って攻めるセレッソの形が機能し、前半26分にこぼれ球を拾ったリカルド・サントスが倒されFKを得ると、これをソウザが札幌GK金山が一歩も動けないコースに決めると、その2分後にも左サイドのコンビネーションから丸橋がクロス、これを中に居た杉本がきっちり頭で流し込み、セレッソがあっという間に3点をリードする。

前半の30分にもリカルド・サントスが裏へ抜け出し、GKを交わすまでは良かったがそこでもたついてゴールならず、33分には水沼のスルーパスから田中が上げたクロスを、フリーになっていた杉本が外してハットトリックならずと、相変わらずセレッソに決定的なチャンスが続く。

しかし札幌もやられっぱなしなだけではない。チャナティップが4-4ゾーンの間に入ってパスを受け、高いアジリティとテクニックで前を向くいわゆる「間受け」のプレイで基点を作り、セレッソの守備を切り崩しにかかるのだが、そこからのパスがなかなか味方に合わずチャンスに結びつかない。

後半の7分にもチャナティップがワンツーからシュートを放ったが、彼自身がゴールに直結するプレイをしたのはここぐらい。今のチャナティップはチャンスを作る事にプレイの重点を置き過ぎているように見えるが、ここから自分で切り崩してゴールを決められれば、もっと怖い選手になるように思う。

セレッソは後半から全体のゾーンを下げてチャナティップにもスペースを与えず、札幌が攻めあぐねる展開に。ここで札幌は小野を投入、ピッチを動き回ってパスをシンプルに展開する彼のプレイで攻撃のリズムを作るようになるが、セレッソもカウンターを狙う形が増えて試合が動き始める。

後半30分にセレッソがカウンターからリカルド・サントスがフリーでシュートを放つが右に外れて絶好機を逃したのに対し、札幌は38分に右サイドでボールをキープしたチャナティップから、左で抜け出した菅に見事なスルーパスが渡り、ようやく札幌が1点を返す。が、セレッソは藤本を投入して毎度の5-3-2シフトで締めにかかり、スコアは3-1のまま変わらず試合終了。

杉本健勇にはジローナから獲得の興味を持たれているようだが、個人的にはもうちょっと後のほうが良いのではないかと思っている。この試合や前の試合でもあったように、難しいシュートは決めるが簡単なチャンスにあっさり外す事が多いし、日本はともかくスペインで1トップをやるにはまだまだ体が細すぎる。フィジカルかアジリティがもう1ランク上がらないと、結局サイドやトップ下で使われて便利屋化するのがオチだと思う。

まあ、中盤や守備の選手とは違って前線のFWの場合、戦術理解度云々よりもどれだけ点に繋がる仕事が出来るかが重要なので、国内やアジアで敵が無くなってからでも十分間に合うと思う。日本には貴重な大型FWなので、今はユン・ジョンファン監督の元でじっくり勉強してもらいたいところだ。