「組織面では上回っていたセレッソ、しかし戦術はベースであって逃げ道ではない」J1第19節 ガンバ大阪-セレッソ大阪

昇格組のセレッソが首位、昨年年間4位のガンバが6位という意外な形で迎えた、吹田スタジアムでの大阪ダービー。現在の勢いからしてセレッソが優位と見られていたが、結果はガンバが3-1で逆転勝利と意地を見せつけた格好になった。

ガンバは7月に獲得したファン・ウィジョが初先発、ボランチは今野と井手口の4-4-2で、遠藤はベンチスタート。セレッソはCBの一角に木本が入った以外は浦和戦から変わらない4-2-3-1。

試合はダービーらしく、互いにロングボールを蹴ってはセカンドボールをガツガツ拾う激しい展開で始まる。特に、暑さのせいでどちらもFWがあまり前からプレスをかけないおかげで、ガンバの今野と井手口、セレッソの山口とソウザという代表クラスを並べた中盤が矢面に立つ場面が多く、緊張感のある戦いが続く。

ただガンバのほうは、攻撃に転じてからの判断がどちらかと言うと選手任せなのに対し、セレッソは逆サイドの選手が高い位置に上がってサイドチェンジを通すというゾーン・ディフェンスの約束事が徹底されていて、柿谷、水沼の両SHが存在感を見せる一方、ガンバは藤春、オ・ジェソクのSBが対応に追われてほとんど攻撃参加出来ず、ラインも押し上げられない。

前半はセレッソペースで試合を折り返すと、後半6分に試合が動く。セレッソGKキム・ジンヒョンのパントキックを山村が頭で後ろにそらし、杉本が藤春に競り勝ち先制ゴール。そして18分にも、セレッソがガンバの守備を完璧に崩し、杉本が絶好機を迎えるがシュートはクロスバー。ここで決められなかった事がセレッソにとっては痛恨だった。

後半20分、ようやくオーバーラップを仕掛けた藤春がそのままクロスを上げると、CB木本が不意を付かれたかのようにファン・ウィジョから目を離してしまい失点。ここからセレッソの選手にミスが目立ち始め、せっかくのカウンターのチャンスもフイにしてしまう事が多くなり、逆にガンバは井手口が尻上がりに調子を上げてセレッソを押し込み始める。

そして32分に、井手口のCKを三浦がニアで合わせてガンバが逆転すると、42分にもカウンターでアデミウソンが突破、GKとの1対1は防がれるものの、井手口がボールを拾ってまたシュート、そのクリアのこぼれ球を拾ったアデミウソンが今度は押し込みダメ押しの3点目、これで試合は決まってしまった。

ダービーで思わぬ大敗を喫してしまったセレッソだが、やはり気になったのは失点してからの試合運び。サイドチェンジやクサビからの落としに対して誰も付いて来てないという、単純な判断ミスが多かった。おそらく、それらは単に戦術的な決まり事を遂行していただけなのだろうが、疲れで選手が戦術通りに動けない場合の引き出しや判断の切り替えが無く、戦術に逃げていたとも言える。これから夏場を迎え、こういう場面は増えてくる事が予想されるだけに、そこをどう対処して行くか。

ガンバはここまで遠藤の優先起用がチームのインテンシティを下げる一因になっていたのだが、井手口を中盤の柱に据えた事で、逆にセレッソに対して後半はインテンシティで上回る内容を見せることが出来たと言える。FWファン・ウィジョも攻守に渡って貢献度が高く、ここから確実に優勝争いへ絡んで来そうだ。