「セレッソが負けて、鹿島が勝てたセビージャ戦3つのポイント」Jリーグ・ワールドチャレンジ2017 鹿島アントラーズ-セビージャ

今年もツール・ド・フランスが終わり、サッカーサイトとしての夏休みもこれで終了。ぼちぼち通常運転に戻るリハビリとして見たのは、先日行われた鹿島とセビージャの試合。

ご存知のように、試合は鹿島が2-0で勝利したわけだが、1-3でセレッソがコテンパンにやられたセビージャに対して鹿島が勝てた点は、大きく挙げて3つのポイントがあるように思う。

1つは、ややセビージャの本気度が足りなかった事。先発メンバーからは、主力のエンゾンジやサラビアらが外れていたし、最初から5トップのハイプレスでガンガン攻め込み、ボールを奪われてもゲーゲンプレスですぐさまボールを刈り取っていたセレッソ戦に比べると、鹿島戦のセビージャは攻守の切り替え、人へのプレッシャーという点では大人しかった。

それでも、Jリーグでは守備で圧倒的な存在感を見せるレオ・シルバが空気になるほど、セビージャの選手は的確なボールタッチと判断でスイスイと中盤でボールを運び、一応ワンタッチでパスは動かしていたものの、アタッキングサードに入ると判断の遅さ、ボールの置き方の曖昧さでチャンスまで作れない鹿島とは、段違いのクォリティを見せつけていた。

ただ鹿島はさすがに強豪相手の経験が豊富で、ここが2つ目のポイントになるのだが、セビージャにボールを支配されながらも守備戦術の要所はしっかり抑える事が出来ていた。セレッソは、セビージャにサイドを攻め込まれた時は、SBが出たりSHが下がったりとバラバラだったのだが、鹿島は原則的にSHが下がって対応、ニアゾーンのスペースをきっちり埋めて簡単に攻め込ませなかった。

とは言え、左SHの中村はそれなりに頑張っていたが、右SHに入ったレアンドロの守備が終始怪しく、セビージャにサイドの1対1を抜かれた時には大きなピンチになっていたのだが、そこはGK曽ヶ端のナイスセーブと、コレアやムリエルが絶好機にシュートを外すなど相手の決定力不足で助かっていた。

そして3つ目は若手の活躍。後半20分を過ぎるとセビージャに疲れが見えて足が止まり始めたのだが、そこに切れ味鋭いドリブルが持ち味のルーキー安部と、スピードがある鈴木優馬の投入が効いた。後半27分に、右サイドでボールを受けた安部がダブルタッチでPA内まで持ち込み、鈴木優馬に優しいラストパスを出して先制すると、ロスタイムにも安倍の左サイドでの突破からCKを獲得、鈴木優馬がダメ押しゴールを決めた。

もちろん、この勝利にはかなり運が味方したという点もあったのだが、やはり鹿島の経験は他のJリーグチームとは厚みが全く違うなと思わせる、セビージャを相手にしても変わらない落ち着きを感じた点が、セレッソと最も異なる部分だったように思う。そういう落ち着きがチームにあるから、若手もこういう場でのびのびプレイ出来るのだろう。もっと他のチームも、こういう試合運びが出来るようになって欲しいね。