「コースアウトで宙を舞い、激しく叩きつけられたリッチー・ポート」ツール・ド・フランス2017 第9ステージ

日曜の第9ステージは、超級山岳を3つも超える重要な「クイーンステージ」。山頂ゴールではありませんが、弱っている選手は確実に優勝争いから脱落するコースだと言えます。

それに加えて、このステージで選手を苦しめたのは雨。当然ながら濡れた路面は恐怖の下りとなって選手に襲いかかり、3級山岳の下りでヘーシンクが落車して脊椎を骨折、モーリも脱臼と肩甲骨の骨折で早くもリタイアしてしまいます。そして超級山岳のラ・ビッシュ峠からの下りでは、マイカの落車に巻き込まれた総合2位のゲラント・トーマスが鎖骨骨折でリタイア。チームスカイの筆頭アシストだけに、フルームにとっては非常に痛いアクシデントになってしまいました。

そして最後の勝負どころ、超級山岳モン・デュ・シャ峠の登りになると、ヤコブ・フルサングがアタックを仕掛けてエース同士のバトルが開始、アル、リッチー・ポートとライバル達のアタックを退けると、今度はフルーム自身が逆襲、これにコンタドールやキンタナは付いて行けず、やはりジロ・デ・イタリア出走組は厳しい状態に。

峠の先頭はバルギルが取り、後続のエース集団はハイペースで下りを走り抜けるが、ここでリッチー・ポートがカーブを曲がりきれずコースアウト、草むらに突っ込んだ自転車から放り出されて宙を舞い、コースに叩きつけられて首を固定されたまま救急車で運ばれてしまいました。不幸中の幸いで首や頭にダメージは無かったものの鎖骨と骨盤を骨折する大怪我。

その地獄のダウンヒルでは、何と落車の恐怖を物ともせずフランスのロマン・バルデがジリジリとフルームらを引き離し、先頭のバルギルを追い抜いて逃げ切りを図ったものの、残り2km弱のところで吸収され、ラストは6人によるスプリントに持ち込まれました。ラスト500mでフルサングがアタックを仕掛けたものの、ウランとバルギルが交わしてほぼ同時のゴール。

勝利を確信したバルギルがガッツポーズを見せたものの、写真判定で勝利と判定されたのはウラン。終盤に変速機が動かないメカトラブルを抱えた逆境を跳ね返しての勝利でした。バルギルは2位になったものの山岳賞はゲット。勝利ではないですが表彰台には登場する事になりました。

これでフルームにとっては最大のライバルと目されていたリッチー・ポートが不運のリタイア。キンタナやコンタドールに加え、ダニエル・マーティンもポートの落車に巻き込まれる不運で1分15秒後退。2位のアルは18秒差ですが、3位のバルデ以下は50秒以上の差が付いて、ますますフルーム盤石の体勢が固まりつつあります。

ツールは月曜の休養日を挟んで、また2つほどフランス西部を走る、ピレネーの玄関口としておなじみのポーも登場する平坦ステージが続きます。ここでキンタナやコンタドールもしっかり体を休めて、中盤戦の勝負どころでまた復活してもらい、再びツールを沸かせてもらいたいものです。