「ジャッキー・デュランやシャヴァネルではなく、ジャラベールの再来か」ツール・ド・フランス2017 第6~8ステージ

もちろん毎日見ているツール・ド・フランスですが、早くも全日程の1/3を消化。ここ近年では珍しく序盤に総合成績が大きく動くことは無く、今のところ静かな展開になっていますね。

完全平坦コースの第6、第7ステージは、現在最強と目されるスプリンター、キッテルが2連勝。ただし、彼の脚質は本当に一瞬だけ発揮される圧倒的なパワーなのでピーキングが難しく、ダメな時にはとことんダメという面白いタイプです。第7ステージも、少しタイミングが遅れて2位のボアッソンハーゲンに対して0.0003秒、距離にして5.8mm、写真判定で画像を最大解像度にして1ピクセルの差で判断した史上最小差での結着になって、レース後はちょっとその話題で盛り上がりましたね。

さて第8ステージは、後半に2級と1級の山岳を登った後、下らずに平坦気味なコースが12km続いてゴールという珍しい形のコースプロファイル。ステージ優勝を狙いたい、パンチャーと呼ばれる選手同士の熾烈な逃げ争いが1時間半も繰り返された挙句、何とかグループが落ち着きました。

メイン集団はチームスカイがコントロールし、最後の1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌで先頭から1分差まで詰めましたが、逃げ集団からフランスのリリアン・カルメジャーヌが単独でアタック、そのまま後続に15秒ほどの差をつけたまま頂上をクリア。

しかし残り7kmぐらいのところでカルメジャーヌの足がつり、これは2番手のヘーシンクに追いつかれるかと思われましたが、何とかストレッチしながら走って回復、鮮やかな逃げ切りで今大会フランス人選手としての2勝目を飾りました。

カルメジャーヌは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでも山岳コースでステージ優勝を飾るなど、その実力がフロックでない事を証明しました。フランスは、ここ最近はツールで優勝を狙える選手は出てきてませんが、ジャッキー・デュランやシルヴァン・シャヴァネル、チームのエースでもあるトマ・ヴォクレールなど、優れたパンチャーには事欠きません。

しかしカルメジャーヌの場合は単なるパンチャーというよりも、かつての大スター、ローラン・ジャラベールのように山岳賞やワンデーレース、経験を詰めば総合争いが出来そうなポテンシャルを感じますね。24歳でツール・ド・フランス初出場にしてステージ優勝という快挙、フランスにとっては楽しみな若手が出て来ました。