「大人のイタリアに頭を押さえつけられ、談合に同意させられた日本」U-20ワールドカップ グループD 日本-イタリア

いきなり試合開始3分に、左SBで先発した杉岡がラインを乱して先制点を決められ、7分にはFKに誰も集中しておらず裏へ抜け出され、そのままシュートを流し込まれて2点目を与えた時には、さすがにU-20代表もここで終わりかと思われた。

しかし、前半22分に中へ切れ込んだ堂安が遠藤にボールを預け、そのまま中へ飛び込んだ動きに遠藤がクロスを合わせ、ボールは堂安の足先にギリギリ触れてコースが変わり、GKの股間を抜けて1点差になった事で試合の行方は分からなくなった。

そして後半5分に、またも堂安が強引なドリブルでPA内に侵入、4人のDFと絡みながら苦し紛れに出したボールがGKの脇をすり抜けてそのままゴールに吸い込まれ、日本は幸運な形で同点に追いつく。

しかし他グループの試合経過により、日本は2得点した時点で引き分けでもグループ突破が可能な立場になったため、その後は互いに無理な攻撃をせず、ほぼ談合のような形で残りの20分を消費、結局試合は2-2で終了、日本はグループ3位で決勝トーナメント進出を果たした。

日本とイタリアでは個人的な能力差はさほど大きくは無いが、戦術的な成熟度は段違いで、イタリアがA代表と同じくシンプルに早く大きな展開で確実にチャンスをシュートに繋げたのに対し、日本は大きな展開は片手で数えるほどで、とにかくリスクオフの短い横パス、バックパスで常に遅攻から始まっており、非常に見ていてストレスを感じる攻撃で、「サッカーを知っている」という意味では大人と子供ほどの差があったように思う。

決勝トーナメントへの進出条件で、日本が同点に追いついた時点で無理な攻撃をする必要がどちらにも無くなったために、その後は自然と談合試合になって互いに攻めるのをやめてしまったが、2点目が入るまでのガチンコで90分続けていたら、日本が負けていた可能性は高かったと思う。

ただそれは選手の問題というよりもチームとして戦術的にどう動いてどう展開するかの練度不足に尽きると思う。ゾーン・ディフェンスにおいて、ボールサイドとは逆のSHが高い位置に上がり、ボールを奪ったらそこに長いサイドチェンジを通すのは基本中の基本なのだが、日本にはそういう準備は全く無くて、ただ2ラインのゾーンを並べて満足しているだけのように見える。

イタリア戦でも、チャンスになった堂安のサイドチェンジや、初瀬のオーバーラップへのロングフィードなど、後半の終盤になるほど日本の展開が大きくなったのを見ても、そういうプレイが出来ない選手しか日本には居ないと決して思えない。監督の指導が期待できないのであれば、選手たちがこの大会の中で自分たちが持っている本来のポテンシャルを発揮する事を願うしか無さそうだ。