「乾がカンプノウで2ゴールの伝説、しかしそれ以上に株を上げた選手がいた」スペイン・リーガエスパニョーラ第38節 バルセロナ-エイバル

各国の最終節が行われた先週末は、いろいろ見るべき試合が多くて迷ったんだけど、やはり岡崎も大絶賛するこの試合は外せないなと思ってまず観戦。

乾は4-4-2の左SHとして先発、意外にもエイバルはカンプノウで立ち上がりから果敢にラインを上げ、バルサのDFラインの裏を狙って攻撃を仕掛ける。今期のバルサはチャンピオンズリーグでも思ったのだが、どうも立ち上がりがスローというか緊張感に欠けた状態で試合に入りがちで、守備がバタバタと落ち着かない。

すると前半7分に、エイバルが高い位置でボールを奪い、右に展開してからカパがアーリークロスを上げると、ファーにいた乾にバルサの選手が誰も付いておらず、ドフリーな乾がインステップで合わせると、これがバルサGKテア・シュテーゲンの頭上を抜いてまさかの先制点をゲットする。

バルサもサイドの守備を修正し、エイバルのハイラインをシンプルな長いパスを使って下げさせ、ネイマールのドリブルを交えてペースを握り返す。が、9分にエイバルの1点もののバックパスミスをスアレスがまさかのシュートミスから始まり、12分にもゴール前でのシュートをスアレスがキックミス、32分には右を崩してラキティッチのボレー、35分にはイニエスタが中央で2人の守備を突破してスアレスにスルーパス、しかしこれも枠外とバルサはとことん決定力が無い。

前半の44分に、ようやくエイバルに2度目の決定機が訪れる。左サイドでボールを受けた乾の切れ込みから放ったシュートをテア・シュテーゲンが弾いたこぼれ球がペーニャの前に転がるが、こちらもシュートミスで2点目ならず、ホームのバルサは0-1のビハインドで前半を折り返す。

後半もバルサの猛攻は続くが、そこに立ちはだかったのがエイバルの守護神、ジョエル・ロドリゲス。後半4分にネイマールのドリブルからイニエスタのコントロールショットをぎりぎりファーで弾き、6分にもまたイニエスタのシュートをセーブ、10分には完全に崩されはしたがスアレスのラストパスを受けたメッシがお前もかのシュートミスでやっぱりバルサは得点ならず。

そして後半15分、キケが前線で粘ってボールをキープ、中のセルジから乾へボールが渡り、乾がダイレクトで放ったシュートがニアを撃ち抜くゴラッソとなり、まさかまさかの乾2ゴールでエイバルが2-0とリードを広げる。が、エイバルの奮闘もここまでが限界だった。

その後は個人技を全面に出して来るバルサの前に守備がズルズルと下がってしまい、PAの中でボールを繋がれ防戦一方、17分にはメッシの中央突破からネイマールがシュート、ボールはポストに当たってまたもエイバルに運かと思ったら、フンカがクリアし損ねオウンゴールになってしまう。

後半24分に怪しい判定のPKがバルサに与えられ、これは乾と並ぶこの試合のヒーローとなったジョエルが防ぐのだが、28分にCKからアルカセルのフリックをスアレスに押し込まれ、29分にネイマールのドリブルをカパが後ろから倒し、これもネイマールのダイブ気味だったがPKになってバルサ逆転。2枚目のイエローでカパが退場したエイバルに逆転する力は残されておらず、その後はバルサが4点目を加えて4-2で試合終了。エイバルにとっては60分間の短い夢であった。

乾は2ゴールだけでなくドリブルもキレキレ、この試合だけなら十分代表復帰もありうるプレイぶり。ただ、乾の課題は継続性に欠けるところと確実な得点力なので、来期にもう1段階評価を上げるには、この活躍をフロックで終わらせない事が大事である。