「カンテ抜きでチームを立て直した戦術的なポイント」イングランド・プレミアリーグ第37節 マンチェスター・シティ-レスター・シティ

ちょうど今朝に34節順延分の試合があって、レスターはスパーズに1-6と大敗してしまったわけだが、ひとまずその試合の事は忘れて(笑)、その前に行われたマンチェスター・シティとの試合について。

前半の早い時間帯に2点を取られて、これは完全な負けパターンの試合かと思われたのだが、既にマスコミで大きく取り上げられている岡崎のスーパーボレーが前半の42分に炸裂すると、後半も粘り強い守備でシティの追加点を許さず、後半32分にはクリシーに倒されて自ら得たPKをマフレズが蹴るも、軸足が滑って蹴ったボールに当たってしまい、ゴールは決めたが2度触った反則で無効とされ、結局シティに逃げ切られてしまった。

この試合では敗戦を喫してしまったとは言え、レスターはシェイクスピア監督に交代してからの成績だけを見ると、リーグの優勝争いに絡めるだけの結果を残しており、モーガン、フートというレギュラーCBを2人も欠いてベナルアンとフクスのCBに、チルウェルのSBと経験の少ない選手をDFラインに並べてシティにあわや引き分けという試合が出来たのは、やはり見事なチーム作りの手腕と言うしかない。

チームを立て直す上で、カンテが抜けた中盤の守備力低下をどうカバーするかが最大のポイントであったわけだが、監督就任直後は岡崎をより守備に走らせるという力技で凌ぎつつ、エンディディがボランチにフィットした事が大きかったとは言え、この試合を見ると戦術的にもちゃんと持続性を持たせる修正をしている事に気づく。

今までだと、岡崎が相手のDFに良いパスを出させないようにしゃにむにプレスをかけていたのだが、シティに対してはそれほど高い位置からプレスをかけていなかった。その代わり、前線や中盤に縦パスが入るとヴァーディと岡崎が必ずプレスバックをして挟み込む守備をしていた。ここが最も大きな違いである。

前線からプレスをかけても、その分DFラインが上がらないと全体が間延びしてしまう。プレスバック主体だと逆にコンパクトさが保たれ、前線の負担は少なくなる。岡崎がゴールを決める事が出来たのも、守備で疲弊せずにゴール前に走り込む余力があったからこそである。

ただ、高い位置からプレスをかけない分、サイドで基点を作られるとそこまで全体が下がらざるを得ず、ドリブルなどの個人技でサイドから仕掛けられると弱いという欠点もあり、それがシティの前半2点に表れてしまったわけだが、そういうチームはプレミアリーグにもそう多くはないので、レスターにとっては適した戦術変更だったのではないだろうか。

とは言え、このまま弱いチームに勝てても強いチームには必ず負けるサッカーではあまり面白くないので、来期以降にどういう補強をして力を積み上げて行くのか、シェイクスピア監督の手腕に注目したいところだ。