「鹿島の完璧な守備戦略に、まんまと封じ込められた浦和レッズ」J1第10節 浦和レッズ-鹿島アントラーズ

昨シーズンのチャンピオンシップ決勝の再戦、今期も首位と3位の対決と言うことで、5万9千人の大観衆で盛り上がった浦和と鹿島の”レッドダービー”。

試合の終盤に舌禍事件が起こってしまったのは残念だが、試合内容自体は最小得点ながら非常に緊迫した、Jリーグの優勝争いにふさわしい好ゲームだったと言える。

試合のポイントは、ここまで9試合で24得点と圧倒的な得点力を誇る浦和の攻撃を、鹿島の守備陣がどう止めるかという部分だったが、絶好調のラファエル・シルバに対しては昌子と植田のどちらかが常に密着し、武藤と興梠のウイングにはSBの西と伊東が当たり、WBの宇賀神と関根にはSHの遠藤と土居がディフェンスラインまで降りてきてカバーするなど、完全にマンマークで押さえ込んで来た。

鹿島の2トップはDFにプレッシャーをかけず浦和のボランチを監視していたため、浦和は比較的ビルドアップが出来る状態にあったはずなのだが、柏木と遠藤が怪我で不在の影響なのか、サイドチェンジなどでボールを大きく動かすことが出来ず、前半の浦和は槙野のクロスとラファエル・シルバのボレーぐらいしかチャンスらしいチャンスを作れなかった。

すると前半24分に、右サイドのスローインから遠藤、ペドロ・ジュニオールとパスを繋いで最後は小笠原がゴール前に浮き球を送り、金崎が森脇のマークを受けながら胸トラップで反転、シュートは森脇の体に当たってゴールに吸い込まれ、鹿島が理想的な形で先制点を奪う。

後半になるとミシャ監督が修正に動く。槙野、那須、森脇が交互にオーバーラップを仕掛け、さらに後半16分にはボランチに駒井を入れ、3-1-4-2のように右サイドで攻撃参加する事で鹿島のマークを混乱させる手段に出るが、鹿島もカウンターから金崎のポストに当たるシュートなどチャンスを作り合う激しい展開に。

浦和は後半6分に、PA内でラファエル・シルバが抜け出すこの試合最大の決定機を迎えるがゴールならず、25分には那須が真ん中からドリブルで持ち込みミドルシュートはGK正面、30分には槙野がオーバーラップからファーに巻くシュートがポストに当たるなど、何度か得点のチャンスはあったが最後まで決められず、鹿島は終盤に手堅く守備を固めて1-0で逃げ切った。

これで鹿島はチャンピオンシップのリベンジに燃える浦和を返り討ちにすると同時に、勝ち点でも浦和を逆転して首位に立つという、浦和にとっては非常に悔しい結果になってしまったわけだが、是非とも後半戦のカードでは鹿島の守備を上回る攻撃力を見せてくれる事に期待したい。