「バイエルン相手の大健闘で、武藤にとってガンとなる存在が浮かび上がってしまった」ドイツ・ブンデスリーガ第30節 バイエルン-マインツ

プレーオフ圏のアウグスブルクと勝ち点で並び、残留争い真っ只中のマインツ。第30節はアウェイでのバイエルン戦という絶対的なハードモードを迎えたわけだが、何と武藤のPKゲットなどでバイエルンから2点を奪い、終盤の相手の猛攻を耐え忍んでドローに持ち込み、残留に向けて大きな勝ち点1をゲットする予想外の結末となった。

バイエルンはレアル・マドリーとの120分間の死闘の末に敗退、疲労を考慮してDFラインから2人を入れ替えたのだが、試合で早速その影響が出てしまう。前半の3分に骨折で負傷のノイアーに代えてスタメンに入ったバイエルンGKウルライヒのセーブから、右SBのラフィーニャが中のビダルへパス、しかしビダルはマークを受けてボールをロスト、拾ったボージャンがウルライヒの股を抜くシュートを決めてマインツがまさかの先制点をゲットする。

前半15分にもにもカウンターから武藤のラストパスをエズトゥナリがシュートという決定的な場面を作ったが、今度はきっちりウルライヒにセーブされると、逆にその直後にフンメルスのフィードからリベリのラストパスを受けたロッベンが角度のないところから決め、バイエルンがマインツと同じようなカウンターから決定力の差を見せつける。

マインツのフォーメーションは、コルドバが負傷したために武藤1トップでボージャンがトップ下に入った4-4-1-1で、攻撃面では前線で蓋となってコンビネーションを作ろうとしないコルドバに比べると、武藤の飛び出しをボージャンが見てパスを出す形が見られ、スムーズな形が出来るようになってはいたのだが、バイエルンは4バックのSBがサイドに寄った時にCBの間に出来る「ニアゾーン」を狙う攻撃が徹底されており、マインツはそこを突かれまくって逆転は時間の問題に思われた。

ところが、レアル戦の負けからまだ切り替えきれていない面もあるのか、バイエルンはいつものようなプレッシングのスピードが見られず、ロッベンやミュラーも決定的な場面でシュートが枠に行かない。すると40分にマインツが左サイドでのパスワークから、PA内に入って来た武藤にクサビのパスが入り、ここで武藤はキミッヒに足を引っ掛けられたと判定されPK。これをブロシンスキが危ないコースだったが何とか決めてマインツが再びリードする。

後半になるとマインツもニアゾーンを警戒するようになり、SHがSBの位置まで下がったり、ボランチの一角がニアゾーンを埋めたりとディアゴナーレの動きが見られるようになる。が、当然ながら前線の枚数は少なくなって、1トップの武藤も相手のCBだけじゃなくてSBまで走ってプレスをかけに行かざるを得なくなり、後半のマインツはボールを奪っても低い位置から苦し紛れのクリアばかりで前線まで全くボールが渡らず、わずかシュート1本と完全な引きこもり状態になってしまう。

それでもマインツはGKフートの好セーブなどで何とかバイエルンの猛攻を弾き返していたが、28分にチアゴ・アルカンタラがDFの股を抜くシュートをコースに決めてバイエルンが同点、その後もクロスやセットプレイから6本のシュートを浴びせたが、マインツは何とか最後までボールを弾き返して試合終了。

ホイッスルの直後に思わず倒れ込むほど、この試合の武藤はほぼ岡崎のように絶え間なくプレスをかけ、前線で体を張って少しでもイーブンにするような地道な努力をひたすら続けていた。PKを自分で蹴って欲しかったが、まあ良く頑張った。チームとしても明らかに武藤はコルドバよりもボージャンと組んだほうが機能するので、この終盤のチャンスにしっかり結果を出してもらいたいところだ。