「久保に感じる、”謙虚なストライカー”というサムライ的な精神性」ベルギー・ジュビラー・プロリーグ優勝プレーオフ第3節 シャルルロワ-ゲント

久保がベルギーリーグで6点目となる決勝ゴールを決めて大きな話題になった試合だが、90分を通して見ると久保は全体的にボールタッチが少なく、ゴールの後でも決定的なシュートシーンでふかしているし、決定機の数だけで言えばシャルルロワと同じような感じで、決して良い内容の試合ではなかった。

それよりも面白かったのは、試合序盤の両チームによる戦術ジャンケンで、おそらくゲントは3-4-3のフォーメーションでスタートし、久保も左ウイングの位置でプレイしていたのだが、対するシャルルロワが4-2-3-1のフォーメーションで、ゲントの3バックとウイングに対して同数でプレスをかけて来たのを見て、ゲントが4-2-3-1へ変更して久保がトップ下に移る。するとシャルルロワは、久保にアンカーのマークを付けるために4-2-3-1から4-1-4-1へとまた変更、これで互いのフォーメーションがようやく安定したように見えた。

と言うわけで、ただでさえゲントはビルドアップの意識が低いのに(笑)、久保は相手のアンカーのマークを受けて縦パスを受けられる状態には無く、時々サイドに流れてアンカーの脇でボールを受ける事はあるが、シモンとカルーの両ウイングがどちらも基本的にサイドへ張ったままなのでそういうスペースが空く機会も少なく、ロングボールやクロスに走って1トップのクリバリーのこぼれ球を狙うしか無かった。

しかし久保が今までの日本人選手と根本的に異なるところは、そういう状況になっても後ろに下がってボールをもらいに行かず、淡々とチャンスが来るまで前線で無駄走りを繰り返し、やっと巡ってきた数少ないチャンスできっちりゴールを決める集中力、ゴールへの執念である。岡崎だと、ゴールが難しければチームに貢献しようという姿勢があるのだが、久保はそういう邪念が全く無い。まさに正真正銘のストライカーである。

でも久保が不思議なのは、そこまでゴールにこだわる癖に、実際はあまりエゴイストではないところである。この試合でも自分で行って2点目のゴールを決められるシーンがあったのに、スルーパスを選択してゴールにはならなかったが味方の決定機を演出したりと、妙に冷静で「俺が俺が」という部分が無く、自分自身は1点取れば良いという風な割り切りが感じられる。

久保が助っ人として結果を出しているのは確かで、現地のマスコミに取り上げられるのは当然の事なのだが、何かそれ以上の話題性になっているように見えるのは、そういう剣豪というか、サムライ的な精神性にエキゾチックさを感じているからではないかと思ってしまうのだ。

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