「栄えある大阪ダービーにふさわしい結果、そしてふさわしくない内容」J1第7節 セレッソ大阪-ガンバ大阪

長居スタジアムに満員の観客が詰めかけた、3年ぶりとなる大阪ダービー。3-1-4-2という欧州で流行りのフォーメーションを取っているガンバに対し、鳥栖でゴリゴリのゾーン・ディフェンス戦術を採っていたユン・ジョンファン監督のセレッソがどういう戦いをするのか、戦術的にも興味深い試合である。

そのセレッソは攻撃時は4-2-3-1、守備時には4-4-2になる標準的なゾーン・ディフェンスのフォーメーションだが、実態はかなり攻撃的。守備時にはファーサイドのSHが高い位置に上がったままで、3-4-3のような形でガンバのDFにプレスをかけ、攻撃時にはSBが高く上がり、ダブルボランチのソウザと山口のどちらかが前線へ上がる2-3-4-1のような形に変化、ボールを奪ったら素早く前線へ運ぶ意識が徹底されていて、試合開始からガンバを圧倒する。

ガンバの中盤は、これまでの遠藤ではなく井手口がアンカーに入り、遠藤と倉田がインサイドハーフに並んで、より攻撃的な位置で遠藤が絡めるようにする狙いはあったのだろうが、セレッソの中盤に対するマークの役割分担が曖昧で簡単に中盤でボールを裁かれ、サイドに展開されてしまっていた。攻撃も中盤を支配されているので、セレッソ4バックの外側をWBの藤春や初瀬が突いた時ぐらいしか可能性が感じられない。

が、せっかく身長がある杉本と山村の2人がセンターにいるのに、クロスの精度がことごとく残念な出来で得点に至らない。逆に後半12分に、スローインからスルスルとボールが流れていくと、ファーサイドをフリーで走り込んでいた藤春が押し込んで、それまで圧倒されていたガンバが一瞬のスキを突いて先制点をもぎ取ってしまう。

ホームでのダービーで絶対に負けられないセレッソはここで清武を投入、後半26分に丸橋からのパスを受けた杉本がドリブルで切れ込み、フェイントからガンバGK東口の頭上を抜く、今期初得点となるシュートを決めて同点に追いつくと、その2分後には丸橋からのクロスを杉本がドフリーで合わせるも逆に東口がファインセーブ。しかし41分に、今度こそ杉本がソウザのクロスを決めてセレッソが逆転に成功する。

しかしロスタイムも3分台に入ったところでガンバにCKが与えられると、長澤や三浦のヘディングやボレーで混戦となり、最後は倉田が相手を背負いながら左足で押し込みガンバが劇的な同点ゴールを決めると、試合はそのままタイムアップ。初夏の気候に見合った熱い試合は、いかにもダービーマッチらしい2-2のドローでの決着になった。

ガンバは結果こそ同点だったが、相変わらずフォーメーション的に流行りを取り入れてみましたという感じで、戦術的な狙いがあまり見えないサッカーで内容では完敗。遠藤を活かすため(と思われる)の戦術なのに、この試合でもFKを大きく外すなど遠藤のプレイはずっと冴えないまま。序盤は大車輪の働きを見せていた今野の離脱はあまりにも大きく、迷走はまだまだ続きそうである。

セレッソはやろうとしているサッカーは明確で、正しい道を歩んでいるとは言えまだまだ全体的な完成度が足りてないなと。あれだけクロスを上げていて1得点というのは効率が悪いし、柿谷も時々光るプレイは見せるのだが、どちらかと言うと守備のプレスバックで目立っている感じで、あまり彼の良さが活きてない。まだ本調子でない清武も含め、サイドに張るよりも中でプレイしたほうが持ち味が出る選手なので、今後の起用法や戦術でどう工夫してくるのか、ユン・ジョンファン監督の手腕に注目したい。