「戦術のための選手から、選手のための戦術へと時代は変わりつつある?」イングランド・プレミアリーグ第31節 チェルシー-マンチェスター・シティ

昨日は会社行事の飲み会があり、酒が入った状態でDAZNを見るのはかなり辛いものがあるので、スカパーで録画しておいたチェルシーとシティの試合を見てみた。

試合は前半から激しく動き、前半10分にニアゾーンからの折り返しからアザールがダイレクトでシュート、コースは甘かったがシティGKカバジェロがコンパニのブラインドになって届かずゴールすると、シティも26分にクルトワのパスミスからシルバがシュート、それはクルトワがセーブしたがこぼれ球をアグエロが押し込み同点。しかし34分にはペドロの切り返しにフェルナンジーニョが足を引っ掛けてしまいPK、これをアザールが決めて再びシティがリードする。

後半からチェルシーはズマに代えてマティッチを投入、ウイングで先発していたアスピリクエタをCBに戻して守備を固めると、シティはデ・ブライネやサネ、シルバのドリブルで切り崩し、後半だけでPA内から8本ものシュートを放つが、後半20分のCKからストーンズが完全フリーになったヘディングもGK正面になるなど運もなく、試合はそのまま2-1で終了した。

これでチェルシーは勝ち点を72に伸ばして2位のスパーズに7差となり、いよいよリーグ優勝がはっきりと視野に入って来た。シティはCLプレーオフ圏内の4位に留まっているが、アーセナルとマンUが勝ち点4差に迫っており、1月半ばから無敗を続けていたが、ここ4試合は公式戦で勝ち星無しと、余談を許さない状況になって来た。

しかしこの試合を眺めていて思ったのは、これだけハイレベルな試合になって来るとほとんどピッチ上に時間やスペースといったものは存在せず、従ってフォーメーションもほとんど意味をなさず、ひたすら個人の能力差、デュエルの勝ち負けで試合は決まってしまうと言うことである。

その点で見ると、チェルシーはダビド・ルイス、セスク、アザールといった、万能性が低くて一般的には使いづらい選手を、ダビド・ルイスは3バックにして攻撃能力を活かし、アザールは3トップにして守備負担を減らし、セスクはカンテを組み合わせて攻撃特性を活かすなど、戦術や人選を「個人の能力を活かすため」に使っているように見える。

逆にシティは、アグエロ、サネ、シルバ、デ・ブライネの前線4人が互いの能力を消し合い、前線が地上戦主体の面子なのにボランチがフェルナンジーニョとデルフという潰し役で、選手の持ち味があまり活かせてないように思う。もちろん、バイエルン時代とは違ってハードスケジュールでターンオーバー必須、楽な試合が無いプレミアリーグはペップの得意な実験的な戦術が使えないという面はあるのだろうが、コンテのほうが監督としての総合的な手腕は上手だなと思ってしまう試合だったね。