「これからはアウトサイドキックのクロスが、サイドアタッカーには必須の技術になるかもしれない」ロシアW杯南米予選 第14節 エクアドル-コロンビア

もうそろそろ佳境に入って来た南米予選。現在W杯出場権内にいる4位のコロンビアを、プレーオフ圏の5位にいるエクアドルがホームに迎える注目の試合だったが、意外にも試合は淡々と進んで波乱無く終わってしまった。

エクアドルのフォーメーションは4-2-3-1で、コロンビアはボルハ、ハメス・ロドリゲス、クアドラードの強力3トップを擁した4-3-3。で、試合は序盤からホームのエクアドルがボールをキープしてコロンビア陣内へ押し込むのだが、攻撃陣の意思疎通やコンビネーションが無いというか、サイドを突破しても人が居ないところにクロスが飛んで行ったり、見え見えのオフサイドにかかってみたり、スルーパスが出ても足を止めていて追いつかなかったりと、どうにも攻撃がチグハグで得点の香りがしない。

逆に前半20分、コロンビアはボルハが左サイドを突破して右足アウトサイドでクロスを上げると、CBが2人居たのに中へ飛び込んだハメス・ロドリゲスに体ごと押し込まれ、コロンビアの最初のシュートで失点を許してしまう。

しかし前に見たポルトガルの選手も、アウトサイドキックのクロスでクリスティアーノ・ロナウドのアシストを決めていたが、インサイドのクロスならマークについた選手が足を出せるのに、アウトサイドだとタイミングが読めないのか、あっさりクロスを上げられてしまう事が多い。日本にそれが出来る選手はほとんどいないけど、もしかすると今後の技術的なトレンドになるかもしれないね。

そして34分には、右サイドでのパス交換からダイレクトの浮き球がハメス・ロドリゲスに通り、クロスはCBとGKの間を通ってクアドラードの前に転がり、難なくこれを決めて2本めのシュートでコロンビアが2点目。エクアドルは攻撃もそうだが、守備でもゾーンにステイするのかマークへ動くのかバラバラで、この場面もDFラインが完全に乱れてボールウォッチャーになってしまっていた。

後半になるとコロンビアは7人で自陣にブロックを作り、エクアドルがボールは持てるのだが攻撃がスローで全く相手の守備を動かせない。コロンビアはボルハとハメス・ロドリゲスがそんなに前線から追わなくて、エクアドルのDFは自由にパスを出せる状態なのに、中盤から前の選手が動かないのでずっと足元でボールを回すだけ。

エクアドルは後半15分に、カイセドが2枚めのイエローで退場してしまい、さらに攻め手が皆無な状態に。10人になってしまったエクアドルは、それでもマンU所属のアントニオ・バレンシアが孤軍奮闘でドリブルから打開を図ろうとするが、多勢に無勢はどうしようもなく、試合はそのまま大きな動きもなく、ホームのサポーターからブーイングを浴びながら試合終了。

これが上位に付けているチームとは思えないほど、攻守に淡白だったエクアドルは、これで順位は6位に後退、プレーオフ圏内からも脱落してしまった。逆にコロンビアはこれで2位へと浮上。5位のアルゼンチンとはまだ勝ち点2差なのでまだどう転ぶか分からないが、この試合では攻守に安定、終始余裕を感じさせる内容で、悲観するような材料は無いんじゃないかと思う。