「タイ戦でも十分起こりうる、ホームチームが陥る落とし穴」ロシアW杯欧州予選 グループH ベルギー-ギリシャ

最近は、スカパーでやってる欧州予選はほとんどフジNEXTでの放送になってしまって、本当にスカパーの海外サッカーセットの存在意義ってチャンピオンズリーグだけになってしまったなと痛感する昨今。なので、この試合は不本意ながらDAZNで観戦。

グループHで1位と2位の直接対決ではあるんだけど、総得点がベルギーの21に対してギリシャが9と、4試合で実に12の差がついている極端なチームカラー同士の対戦だけに、試合展開はまさにギリシャの固い守りをベルギーがどう崩すか、ひたすらそれだけの中身になってしまった。

ベルギーのフォーメーションは3-4-2-1で、3トップはルカク、ナインゴラン、メルテンスというメンバーで、エースのアザールは負傷のため欠場。対するギリシャは基本形が4-5-1で、守備時にはボールサイドのSHが下がった5バックになり、ラインはあまり上げずにベルギーがボールを持ったらすぐさま撤退、PAすぐ外側にゾーンを作って固める、いわゆる「バスを並べる」体制に。

しかしギリシャはただ人が並んでいるだけではなく、バイタルエリアでメルテンスやナインゴランがボールを持つと、あっという間に1人が間合いを詰めてコースを消し、周りは下がってスペースをカバーする連動が徹底されていて、そこから先へボールをほとんど運べない。1トップのルカクは常時きっちりマンマークを受けているのだが、真ん中にいるだけでスペースを作る動きをしないので、攻撃選手のポジションに変化がなくひたすら単調な攻めになってしまう。

ギリシャの攻撃も、ホームで前からプレスをかけて来るベルギーの前に中盤で全くパスが繋げず、組み立てはロングボールからセカンドボールを拾う形のみ。前半はギリシャGKの足に当たってしまったメルテンスのシュートぐらいしか無い退屈な内容になってしまったが、後半になるといきなり試合は思わぬ方向に動く。

後半1分に、ロングボールをベルギーが跳ね返したボールをまたギリシャの選手が中盤で競り勝つと、DF裏にスルッと抜け出たミトログルの前にボールが転がり、これをミトログルが冷静にファーへ流し込み、何とそれまで完全にノーチャンスだったギリシャが先制点をゲットしてしまう。ベルギーの守備陣は、エアポケットのように集中が切れてしまっていた。

次に試合が動いたのが後半20分。タフツィディスがこの試合2枚目のイエローで退場、ベルギーはここでフェライニに代えてデンベレを投入、一気に逆転を狙いに出た。が、そこからギリシャは5-3-1に変更してゴール前に壁を作って完全な撤退戦。ベルギーはサイドが手薄になったところを攻めようとするが、クロスやセットプレイの精度が悪く、カラスコは単調なドリブルばかりで得点には繋がらない。

そしていよいよベルギーの負けが見え始めて来た後半44分、ルカクにシンプルな浮き球のクロスを上げると、ソクラティスにマークされながらも胸トラップから反転シュート、これがニアに決まってベルギーがようやく同点に追いつく。ここまでルカクは仕事らしい仕事をしてなかったが、ワンプレイでチームを救ってしまった。

その後もベルギーの猛攻は続き、クロスからルカクの強烈なヘッドも、ギリシャGKカピノがまたナイスセーブ、跳ね返りが味方に当たって戻るも足で掻き出しゴールならず。最後は小競り合いからツァヴェラスまで退場になってギリシャは9人になるが、試合はそのまま終了、ベルギーにとっては首位キープながらも不満が残る勝ち点1となってしまった。

タイはギリシャほど守備が堅いわけではないけれど、やはりいくら個人の能力があっても単発のドリブルシュートや相手が守備を整えた状態でのクロスを上げてもそう簡単に点には繋がらないわけで、やはり各選手がスペースを作って早くボールを動かす、連動した攻撃が出来ないと今日の試合も苦しくなるはず。ミスを恐れず、先発が予想される岡崎の動き出しへ積極的にパスを出し、さらに周りがオーバーラップするような攻撃を期待したい。