「名だたるプレミアのビッグクラブが嵌ったレスターの罠に、セビージャもまた落とされた」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第2レグ レスター・シティ-セビージャ

セビージャホームで行われた第1レグで2-1と敗れた後にラニエリ監督が解任され、もうチャンピオンズリーグの事など忘れ去られてプレミアリーグの残留が出来るかどうかという瀬戸際に立たされていたレスター。しかしそこからリバプールを破るなどリーグ戦を連勝し、勢いに乗った状態で迎えたセビージャとのチャンピオンズリーグ第2レグ。

レスターはシェイクスピア監督が就任してからは不動の、と言うかカンテの位置にエンディティが入った以外は昨シーズンと同じ岡崎とヴァーディが前線に入った4-4-2。対するセビージャは、リーグ戦で使用している3-4-3ではなくて4-2-3-1という形にして来た。

おそらくセビージャの狙いとしては、守備時に同じ4-4-2とする事によって戦術的なギャップを無くして不用意なシスクを排除、単純な選手同士のマッチアップで上回れば負けることはないと判断したのだろう。確かに普通のチームであればそれは間違ってなかったのだろうが、幾多のプレミアリーグのビッグクラブが罠に嵌った、昨シーズンのレスターが蘇ってしまっていた事がサンパオリ監督にとっては誤算だった。

レスターは、CBにはヴァーディが、ダブルボランチには岡崎が絶え間なくプレスをかけてセビージャにビルドアップをする時間を与えず、苦し紛れのロングボールは高さだけはあるCBのモーガンとフートが跳ね返し、セカンドボールはオルブライトンやドリンクウォーターが献身的に拾いまくる。カンテの穴は感じるが、そこは岡崎が運動量をさらにアップしつつエンディティのフィジカルとリーチでカバーする。

セビージャは序盤こそナスリが高い位置でボールに絡んでチャンスを作ったが、その後はすっかりレスターのオールコートプレスに飲み込まれてしまい、その勢いのままレスターは前半の27分に左サイドでFKをゲットすると、マフレズのキックがファーに入ったモーガンの足元に当たってゴールに吸い込まれ、それまで押されていたレスターがラッキーな先制点を獲得する。

アグリゲートスコアでビハインドになったセビージャは、後半からヨヴェティッチとマリアーノを投入、攻撃時にボランチのエンゾンジをDFラインまで下げ、3バックのようにしてヴァーディのプレスを回避、ナスリがボランチの位置まで下がってビルドアップに参加する事でボールの支配率を高め、ここまでアクセル全開で来ているレスターに対してボールを支配し始める。

が、後半9分に岡崎がエンゾンジの裏を取ってバイタルでシュート、これは相手にブロックされるがマフレズが拾い、最後はオルブライトンが左足で流し込んでレスターが2点目をゲットする。ここでレスターは疲れが見え始めた岡崎に代えて、ウジョアではなくてスリマニを投入するという定食パターンで逃げ切りを図るものの、スリマニは岡崎ほど相手を追いまくらないので受ける形になってしまい、レスターの守備はさらにズルズル下がって防戦一方になってしまう。

ところがレスターにとってラッキーな事に、後半29分に球際の競り合いでヴァーディがナスリを突き飛ばし、ナスリが頭突きの動きをしたところでヴァーディが演技っぽくよろめき、笛が吹かれて両者にイエロー、ナスリはこれが2枚目だったために累積で退場となってしまう。

これで楽になるかと思われたレスターだったが、10人になってもセビージャの圧倒的攻勢は変わらず、後半32分にスルーパスから右サイドを抜け出したビトロがシュート、その直後にレスターGKシュマイケルの体が当たって倒れたのをPKと判定され、これが決まるとアグリゲートスコアでタイになるところだったが、エンゾンジのPKは魅入られたかのようにシュマイケルの体に当たってスタンドのシュマイケル親父もガッツポーズ。

その後はヴァーディが2度も入れるだけなビッグチャンスをフイにして嫌なムードが流れるが、ロスタイムのコレアのボレーは枠を外れてレスターはまたも命拾い。そしてそのまま2-0でレスターが勝利し、2試合のトータルで2-1とセビージャを上回り、堂々のベスト8へと進出した。

岡崎は試合感の無さゆえかボールを持った時の判断が遅くて、シュートも相手にブロックされたものが2本と攻撃ではあまり役に立てなかったが、後半17分までひたすらセビージャのバックラインにプレスをかけ続け、中のスペースも塞いでレスターの守備を前線で支え続けた。交代で入ったスリマニもほぼ岡崎と同じような仕事をしていたので、レスターには「OKAZAKI」というポジション表があるに違いない(笑)。