「よほどの変身をしないと、このサッカーに香川の居場所を見つけるのは難しい」UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16第2レグ ボルシア・ドルトムント-ベンフィカ

ベンフィカのホームで行われたベスト16の第1レグを、0-1で落としてしまったドルトムント。シュタディオン・ドルトムント・ホームでの第2レグでは、残念ながら香川はベンチスタートとなった。

ドルトムントは最近のお決まりフォーメーションである3-1-4-2でのスタートだったが、ベンフィカが4-1-4-1でアンカーのヴァイグルに1トップのミトログルがマークをぶつけて来た。今までのドルトムントであれば、このままビルドアップが機能不全になって、カウンターでやられるパターンが多かったのだが、さすがにトゥヘルも学習したのかカストロとヴァイグルをダブルボランチにした3-4-3にすぐさまシフトした。

これを見てベンフィカはフォーメーションを変えるべきだったのだが、動かずそのままだった事がドルトムントにとっては幸いだった。これでドルトムントのボランチがミトログルのマークを外せるようになって、そこからデンベレ、プリシッチのの両ウイングへ展開する形で攻撃が機能するようになった。

そしていきなり前半の4分に、CKからプリシッチが頭で流したボールを、ファーに居たオーバメヤンが押し込んでドルトムントがアグリゲートスコアで同点に追いつき、早い時間にチームがが落ち着く展開になった事もドルトムントにとっては非常に大きかった。

前半はコースはゴール正面だったが、セルビやルイソンが枠内シュートを打って反撃の意思を見せていたベンフィカだったが、後半になるとDFラインが上げられなくなり防戦一方。14分の2点目は、ベンフィカが引きすぎてCBのピシュチェクがベンフィカ陣内に入ってもノープレッシャーのままで、そのままフリーでプリシッチにスルーパスが通ってゴール。

直後にヴァイグルのサイドチェンジ、シュメルツァーがダイレクトで折り返し、オーバメヤンが飛び込んで、かつて香川が見せていたようなドルトムントが得意な展開での3点目。これで早くも勝負あり。40分に、今度はカストロ、ドゥルムと逆サイドの展開でオーバメヤンがハットトリックのおまけ付きでドルトムントが逆転快勝で勝ち上がり、ベスト8へと駒を進めた。

香川は後半35分からデンベレに代わって右ウイングで出場、ほとんどボールタッチは無かった。今のドルトムントは、とにかくサイドに素早く展開して、ウイングがドリブルやスピードで振り切って中のオーバメヤンに合わせるという、極限まで効率性を追求した攻撃スタイルなので、香川のような選手がバイタルで待っても、ショートパスで手数が増えるだけで今のスタイルとは相性が悪すぎる。特に3-4-3にシフトする今の形では先発起用されないのも仕方ない。

はっきりと守備がメインのボランチでパスの出し手になるか、攻撃への切り替えを早くしてワンタッチでキラーパスを出せるような前線になるか、今のところは選択肢が無い。とは言え、どちらもすぐに適応は難しい以上、今期終了後の移籍を視野にいれるべきではなかろうか。