「今野と井手口のインサイドハーフ勝負は、先輩が貫禄を見せつけた」アジア・チャンピオンズリーグ グループH アデレード・ユナイテッド-ガンバ大阪

ここまでグループリーグの初戦で浦和と鹿島が連勝し、ここ近年には無かった好調なスタートを切った日本勢。3番手に登場したガンバは、ガンバが優勝した2008年のACLで決勝と戦った、アデレード・ユナイテッドとアウェイでの対戦となった。

ガンバは先々週に行われたACLプレーオフ・ジョホール戦と全く同じメンバー、遠藤をアンカーに置いた4-3-1-2のフォーメーション。対するアデレードは4-2-3-1で、守備時には2ラインのコンパクトなゾーンを作り、ボールを奪うと大きくサイドチェンジをして基点を作り、しかし単純にはクロスを上げずそこからグラウンダーで繋いで崩す、現在のオーストラリア代表に近いタイプの攻撃が特徴。

序盤のアデレードは高い位置からプレスをかけようとしたようだが、ガンバはアンカーの遠藤がワンタッチでシンプルにミス無くさばいてプレスをうまくいなし、インサイドハーフの今野と井手口がサイドに出て攻撃参加、SBと前線とでトライアングルを作って相手の横に狭いゾーンの外から攻める形が機能する。

前半21分にガンバが決めた先制点も、左から中への繋ぎにアデレードはシュートコースを消すだけであっさりボールを叩かれ、右のスペースに上がって来たオ・ジェソクが相手に詰められる前に上げたクロスを長澤が頭一つ抜け出して決めたもので、アデレードの寄せの甘さが目立つ。

この失点でアデレードが目を覚ましたのか、それまでは腰が引け気味だったマークが一気に厳しくなってセカンドボールを拾われ、ガンバはDFラインが上げられず、特に井手口のサイドはオ・ジェソクとの連携が上手く行かず、2対2の状況からあっさり破られてPAまで侵入される場面が目立つ。

しかし前半のロスタイムにGK東口のキックを今野が競り勝ち、これがカウンターになってクロスを相手GKが弾いて流れたボールを井手口がシュート、これは相手に当たったがこぼれ球が今野の前に転がり、これを冷静に蹴り込んで2点目をゲット。この得点が結果的に大きかった。

後半も相手のペースは変わらず、ファビオのクリアミスからフリーでシュートを打たれるなど何度かピンチを作ったところでようやく倉田が下がった4-4-2に変更して試合が少し安定、終盤はガンバが盛り返して倉田、三浦とシュートを放つがこちらも得点できず。しかし36分に遠藤のFKにアデレードGKホールが飛び出し、触れなかったボールがDFに当たってゴールに入るオウンゴールで3点目、これで完全に勝負あり。

これでガンバは、初戦にして昨年獲得した全ての勝ち点を上回るスタートになったわけだが(笑)、FWのアデミウソンがあまり動けず中盤守備に負担がかかり、相手に攻められるとSBの位置が低くなり過ぎてインサイドハーフとの距離が開き、インサイドハーフが攻撃参加していると広大なスペースが空いてしまうという構造的な欠陥が見え、点差ほど楽な試合では無かったように思う。

やはり今期のカギはインサイドハーフの今野と井手口がそれだけ攻守で幅広く関われるかで、その意味でこの試合は今野が先輩としてのプライドを見せつけたと言える。井手口もこの内容に奮起して、良きライバル関係を築き上げればガンバの未来はもっと明るくなるはずである。