「大型台風ライプツィヒを、”正面衝突”で打ち破ったHSV」ドイツ・ブンデスリーガ第20節 ライプツィヒ-ハンブルガーSV

2部からの昇格組ながら、一時は首位に立つなど今期のブンデスリーガで猛威を奮っているライプツィヒ。リーグの前半戦でコテンパンにやられた各チームがどういう研究をして後半戦に臨むのかが注目されたが、HSVが取った作戦は「ライプツィヒと全く同じサッカーをやる」という驚きの手段だった。

ライプツィヒのフォーメーションは4-4-2で、前後も左右も極めてコンパクトな形で守り、ボールを奪ったら素早く前線へと送って相手の守備陣形が整う前に攻め切るサッカーなのだが、この試合はHSVもほぼ同じで右SBで先発出場した酒井高徳はほとんどタッチラインに寄ること無く、ほとんどDFラインの4人がPAの幅のままで中央を固めて守っていた。

序盤はそんな感じの激しいセメントマッチが続き、両チームともに決定機を逃した後の17分に、HSVはコーナーキックからCBのパパドプーロスがドンピシャのヘディングを決めて先制点をゲットすると、6分後にはまたも同じような形でCKからヴァラシが頭で合わせて2点目を決め、HSVにとってはこの上なく良い形で試合をリードする。

その後は反撃に出るライプツィヒがボールを支配、サイドから執拗に攻め立ててHSVは防戦一方に立たされるものの、HSVの守備組織はサイドを捨ててフリーでクロスを上げられても中で防ぐ形で一貫しており、ライプツィヒはクロスからシュートは打つもののHSVの守備陣が邪魔になってなかなか枠を捉えられない。

後半も15分頃までは同じような展開が続いたが、それを過ぎると猛攻を続けていたライプツィヒにも徐々に攻め疲れが見え始め、試合は膠着状態に陥って行く。HSVは守備のリズムを重視したのか後半38分まで選手を交代しなかったが、最終盤にようやく逆襲、後半42分にディークマイヤーが惜しいシュートを放つと、ロスタイムにはカウンターから最後はハントが流し込んでダメ押しの3点目を決め、試合終了。HSVにとっては降格圏から抜け出す大きな勝利になった。

HSVにとって、セットプレイによる先制点が最も大きな勝利の要因になった事は間違いないが、日本人の母親を持つアメリカ人選手ウッドの裏への飛び出しと、ヴァラシとユングのフィジカルに優れたダブルボランチという人選も良かった。ただボランチで出場していた酒井高徳にとっては痛し痒しで、SBで出場したこの試合では、相変わらず1対1の対応と裏のスペースケアに不安なところは見られたが、しばらくはこのスタメンが続きそうなのでキャプテンは頑張るしか無いね。

ライプツィヒはこれでドルトムント戦に引き続き連敗。ここ7試合で3勝4敗とそろそろ息切れ感が出て来た。この試合もHSVが上手く守ったとは言え、ショートカウンターの切れ味が90分間続かなくなっているのも確か。ここからまたギアを上げてバイエルンを抜くのは難しく、CL圏内に残る事が現実的な目標になりそうだ。