「浅野にとって”個の力”という意味を噛み締めさせられた試合」ドイツ・ブンデスリーガ2部 シュツットガルト-ザントハウゼン

ホームスタジアムの収容人数が1万人という小さなクラブながら、今期の2部リーグで6位とプレーオフを狙える順位につけているザントハウゼン。前節で首位に立ったシュツットガルトはホームでの試合で快勝と行きたいところだったが、非常な苦戦を強いられる事になってしまった。

シュツットガルトのフォーメーションは、浅野を左インサイドハーフ、アメリカ代表グリーンを左SHに置いた4-1-4-1。これで浅野とグリーンが交互にサイドを攻め上がる形がシュツットガルトの新定番になっているわけだが、開始5分に浅野の鋭い飛び出しでチャンスを作りはしたもののクロスはテロッデに合わず。相手の守備がコンパクトで寄せが極めて速く、グリーンのプレイも安定せずにその後はなかなか決定機まで持って行けない。

ザントハウゼンは守備でも4-2-3-1のままで守り、シュツットガルトのアンカーのグルギッチ、そして浅野とゲントナーの中盤3人にそれぞれガッチリとマンマークをかけてビルドアップを阻害して来た。そのためシュツットガルトはボールポゼッションこそ6割以上で圧倒しているのだが、実際はバックラインでボールを回している時間が多く、浅野も頻繁に動き出してはいたのだが、前半の途中からめっきり縦パスを受ける回数が減って試合から消えてしまった。

むしろ攻撃についてはザントハウゼンのほうが機能していて、ボールを奪うとすぐさま各選手が2-4-4の形にバランス良く広がり、絶え間なくパスコースを作動きをしてしっかりボールを繋いで来る。特に前線のヘラーとウッテンのプレイには切れがあり、何度もカウンターから中央をドリブルで切り裂き、35分にはクロスのタイミングがわずかに合わずゴールにはならなかったが、決定的なチャンスを作っていた。

しかしいくら素晴らしい守備組織があっても、個の力が物を言うのがサッカーでもあり、前半終了間際に右サイドでボールを受けたマネが、2人のマークを受けながらもドリブルで突破すると、ザントハウゼンDFパチャラダによる後ろからのタックルがPKと判定され、これをテロッデが冷静に流し込んでシュツットガルトが苦しみながらも貴重な先制点をゲットする。

これでシュツットガルトは一安心かと思いきや、後半16分にザントハウゼンがFWスクタ・パスを投入すると試合の様相がガラリと変わる。まず交代してわずか1分後、右からのクロスに飛び込んだスクタ・パスがファーストプレイで同点に追いつくシュートを決めると、U-19代表にも選ばれた逸材らしく前線で強いフィジカルを活かして基点となり、ザントハウゼンがセカンドボールを支配してシュツットガルトを押し込み始める。

それでも後半25分に、シュツットガルトは相手のクリアミスがうまくラストパスのような形になってツィマーがGKと1対1になるが、シュートを体の正面にぶち当てて得点ならず。逆にザントハウゼンも同じようなミスからのカウンターで、最後はスクタ・パスが完全なフリーでクロスに合わせたものの、今度は枠外に外れて両チームとも超決定機をものに出来ない。

後半も35分を過ぎてようやくザントハウゼンの運動量が落ち始め、40分にシュツットガルトがセットプレイの流れからアーリークロスを上げると、ファーにいたマネが上手くボールを拾って折り返し、テロッデが倒れ込みながらボレーをゴール左に流し込んで、シュツットガルトが劇的な2点目をゲット。その後はザントハウゼンのパワープレイに苦しめられ、プレドゥルの至近距離からのシュートもGKランゲラクが何とか弾き、試合はそのまま2-1で終了した。

浅野は後半20分にギンチェクと交代。前節は浅野の飛び出しから多くのチャンスを作ったが、この試合は相手の右ボランチ、クロヴィッツにぴったりとマークされなかなか良い形でボールを受けられず。グリーンも不安定でコンビも良くなかった。マネとテロッデが、同じように厳しいマークを受けながらも得点に絡んでいるわけだから、あまり言い訳は出来ないかな。ここが一つの壁だよね、何とか打ち破って欲しい。