「ガンバの思い切ったモデルチェンジは、吉と出るか凶と出るか」アジア・チャンピオンズリーグ プレーオフ ガンバ大阪-ジョホール・ダルル・タジム

ガンバ大阪のホーム、吹田スタジアムで行われたアジア・チャンピオンズリーグのプレーオフ。相手はマレーシアリーグを3連覇したジョホール・ダルル・タジム。日本の古参サッカーファンには馴染み深い、ジョホールバルにあるクラブである。

今期初の公式試合という事で、ガンバがどういう布陣で臨むのか注目して見たのだが、何とフォーメーションは遠藤をトップ下じゃなくてアンカーにし、インサイドハーフに今野と井手口、トップ下に倉田を置いた中盤ダイアモンドの4-4-2にして来た。

この形で思い出すのは、ピルロをアンカーにしてガットゥーゾとセードルフを置いたアンチェロッティのミランである。通常は守備に長けた選手が入るアンカーに純粋なゲームメーカーを置き、両脇を運動量のあるファイターを並べて守備力をカバーする形である。これにより、トップ下としては落第とみなされていたピルロを復活させた、伝説の起用法である。

ではこのフォーメーションがどれだけ効果を挙げたかというと、ぶっちゃけこの試合では良く分からなかった(笑)。ジョホールは4-1-4-1のフォーメーションにして来て、自陣にコンパクトなゾーンを敷いてカウンターを狙うサッカーをして来たのだが、DFラインの4人がボールウォッチャーになってマークがずれる場合が多く、アンカーの両脇に出来るスペースをアデミウソンや倉田に使われ、ガンバはやすやすと前線で基点を作る事が出来ていた。

そして前半26分に、倉田の中央突破から今野がクロスを上げると、中で誰もマークに付いてなかったアデミウソンが楽々とヘディングを決めて先制すると、3分後にはロングボールの落としから藤春が抜け出してグラウンダーのクロスを送ると、またもドフリーになっていた長澤がきっちり押し込んで2点目。両者の力関係を考えたらそこで試合は決まってしまった。

そんな様子だったので新フォーメーションの功罪については判断できなかったのだが、方向性としては遠藤が割りと自由にポジションを取って、今野と井手口はボランチ的にSBと補完しあってサイドを幅広くカバーし、ビルドアップは三浦とファビオのCBが担う感じかなと。特に三浦は良い縦パスを何本も通していて、昨期に比べるとラインも高くコンパクトで、終盤に登場してキレのあるドリブルを見せた泉澤とともに、ガンバにとっては良い買い物になった気がする。今後、強い相手と当たった時にもコンパクトさをキープしてビルドアップ出来るかが試されるところだろう。

あと、中盤ダイアモンドの4-4-2にするなら、前線でしっかりプレスをかけてボールを収められるFWが欲しいところ。ACLを考えると長澤や呉屋といったメンツだけでは弱いので、噂に上がっているドゥグラスは是非獲得しておきたいところだろう。