「チームのために動いた香川の判断を、ベンチという形で拒絶したトゥヘル監督」ドイツ・ブンデスリーガ第18節 マインツ-ボルシア・ドルトムント

ウインターブレイク明けの試合でブレーメンには勝利したものの、ここ5試合で白星はその1つのみと相変わらずパッとしないドルトムント。今節アウェイで行われたマインツ戦でも、試合序盤に先制しながらも終盤に追いつかれ、またもドローで試合を終えてしまった。

ドルトムントは、前節で先発した香川がベンチで中盤はゲレイロ、ヴァイグル、カストロという並びの4-3-3。アフリカ・ネーションズカップから帰国したオーバメヤンが1トップで復帰、前線はロイス、シュールレとコンビを組んだ。マインツは武藤が1トップで、フライがやや下がり目に位置する4-4-1-1のフォーメーション。

マインツは、ここ最近のドルトムント対策の常套手段である、アンカーのヴァイグルを前線の2人がマークしてビルドアップを封じつつ、後ろの4人がコンパクトに守ってカウンター狙い・・・だったのだろうが、ドルトムントが意外にもロングボールを放り込んで来たため、ラインが下がり気味になってセカンドボールを拾われ、サイドを基点に押し込まれる展開が続く。そしてミスからシュールレが3分に先制ゴール。

と、ここまではドルトムントの奇襲が上手くハマったのだが、問題はそれ以降も相変わらず同じ攻撃を続けた事にある。ドルトムントは攻撃時になると、CBとアンカーだけが自陣に残って、後の選手が高い位置に上がる2-1-4-3のような形になるのだが、カストロとゲレイロが2列目の位置に上がって降りてこないためヴァイグルが孤立、仕方なくCBから前に蹴るかサイドで繋いで持って行く形でしか攻撃が出来ない。

それでもドルトムントが前半30分までに6本のシュートを放ったが決めきれないでいると、マインツはドルトムントのロングボール攻撃に慣れて来て、中盤へのアプローチが早くなって試合はイーブンの展開に。逆に後半開始から15分までは、中盤が攻撃参加をし始めたマインツの勢いが勝って3本のシュートを放ったのに対し、ドルトムントはわずか0本というお寒い内容。

トゥヘル監督は、そこからゲレイロに代えてゲッツェ、オーバメヤンに代えてデンベレを投入するが、結局彼らのやっている事は前線で待って個人勝負という点は変わらず、組織やコンビネーションで崩そうという狙いが一向に見えない。逆に後半30分以降はマインツが積極的に前へ出てきてサイドの攻防で優位に立つと、後半37分に右サイドへの展開からサイドのコンビネーションで崩し、クロスをファーサイドに飛び込んだボランチのラッツァがきっちり合わせる、分厚い攻撃で同点に。

その後もマインツの勢いは止まらず、試合終了間際にザイデル、デ・ブラシスと交代選手が決定的なシュートを放つものの、ボールはわずかにポストをかすめてゴールならず。試合はそのまま1-1のドローで終了した。

ブレーメン戦でも同じような展開になり、その時は香川がヴァイグルの位置まで下がってゲームメイクを補佐していたのに、その香川をベンチに置いたままというのは、その香川の判断をトゥヘル監督が拒否した証拠のように思える。しかしそれで内容も結果も向上ところか前節以下なのだから、監督のゲームプランそのものに疑問を持たざるを得ない。つーか、そもそも後ろがたった3人でどうやってビルドアップしろと言うのだろうか。

武藤はCBへのプレス、ヴァイグルのマークという守備的な役割に終始。サイドに流れた時はボールを受けてキープ出来ていたが、ハイボールはソクラティスに負けることが多く、ギリギリオフサイドと判定されたゴール以外はシュートゼロ。それでも体は前節よりも軽そうで、運動量もあったのでマインツが攻勢に出る時間帯の前に下がってしまったのはちと残念だった。ケルンと同様に、マインツにも武藤へパスを出せる清武が欲しいねえ・・・