「2トップ下の岡崎は、結局は割れ鍋に綴じ蓋」イングランド・プレミアリーグ第22節 サウサンプトン-レスター・シティ

チャンスは作りながらも攻撃陣の決定力不足が深刻でリーグ戦は4連敗しているサウサンプトンだったが、さすがにラニエリの逆マジックが炸裂して守備が崩壊したレスターに対してはきっちり完勝してみせたという試合。

レスターのフォーメーションは、ラニエリが何を思ったのかグレイとヴァーディの2トップに、トップ下が岡崎という中盤ダイアモンドの4-3-1-2。当然ながら守備ブロックはそれまでの4-4ではなくて4-3になって1人減るため、中盤3枚の横のスペースにサウサンプトンの選手が自由に入り込み、面白いようにサイドでパスを繋いでチャンスを量産する。

サウサンプトンは前半26分に先制点を挙げるのだが、その場面を見るとやはり中盤サイドのスペースを使って縦にボールを繋がれ、SBがボールに寄せるのはいいが、CBとの間に出来たスペースをボランチがカバーせず、そこにサクッと入り込まれて最後は折り返しをウォード・プラウズに決められてしまった。つーか、それまでに少なくとも4回の決定機を作られていて、サウサンプトンだから点が決まるまで26分もかかったと見るべきである。

イタリアやドイツでも4-3-1-2を取るチームはあるが、その場合は守備時はトップ下が下がって4-4-2になったり、2トップがサイドもカバーした4-1-4-1にシフトするなど、必ず4-4以上の人数をブロックにかけられる用にするのが常識なのだが、レスターは前線の3人が守備組織に参加していないため、常に4-3のブロックで守ることを強いられている。ただでさえレスターは個人能力が低いのに、これで守りきれるはずがない。

岡崎はトップ下の位置でいつものようにプレスをかけまくっていたが、いくら岡崎が追っかけまわしたところで、グレイとヴァーディは守備に戻って来ないし、簡単にサイドへパスを出されてお終いになってしまうのでほとんどプレスの意味がない。攻撃でもサウサンプトンのアンカーであるロメウに常時マークされ、見せ場は前半の24分にボールが弱くて届かなかったが、通っていれば1点もののスルーパスを出した場面ぐらいでシュートは0本。後半から4-4-1-1になってやっとレスターらしさが見え始めたなと思った18分にムサと交代。

そこからはサウサンプトンのプレスが弱まったのもあって、レスターがシンプルなカウンターから攻め込む場面が増え、後半27分にはFKからこぼれ球をモーガンがフリーになって押し込もうとしたが枠の外。これで1点差になっていればまだ分からなかったが、逆にサウサンプトンがセットプレイからタディッチが決めて3点目、これで完全に勝負あり。レスターは全く良いところ無く2試合連続の0-3負けになってしまった。

個人的にはもうラニエリは解任させるべきだとは思うが、昨年に奇跡の優勝を飾った監督なので、ラニエリ自身が辞めると言わない限りはこのままズルズル続いてしまうのかなと思う。試合後に、ようやくフォーメーションをいじった事が間違いだと語ったそうだが、それだけの問題じゃないのは明白で、レスターは相変わらず光が見えない。

吉田については、一度ドリブルで持ち上がって奪われ、カウンターを食らった場面はあったが、レスターがそんな感じだったのでボロは出ず。2点目はヘディングで折り返したボールがロドリゲスへのアシストになるなど、攻撃面でも手堅く貢献できていた。フォンテが移籍してファン・ダイクも怪我で退場してしまったので、これからますます吉田の出来が勝敗を左右しそうで楽しみでもあり怖くもある。