「戦術も勢いもマンUだったが、それを台無しにしたポグバのバレーボール」イングランド・プレミアリーグ 第21節 マンチェスター・ユナイテッド-リバプール

現在公式戦9連勝中と絶好調のマンUが、リーグ3位ながらも最近は公式戦3試合で勝ちが無いリバプールをホームに迎えての上位直接対決。

リバプールのフォーメーションは4-3-3で、前線は1トップのフィルミーノと左ウイングのララーナといつも通りだったが、右ウイングにはオリジを起用して来た。これは右SBのクラインが欠場し、若手のアレクサンダー・アーノルドを起用したのでオリジの運動量とフィジカルでカバーさせようという狙いがあったのだろう。

しかしモウリーニョ監督は当然クラインの欠場は織り込み済みで、4-2-3-1のフォーメーションを採用してポグバ、エレーラ、キャリックの3人に、リバプールのヘンダーソン、ワイナルドゥム、エムレ・カンの中盤にマッチアップさせてビルドアップを阻害し、ボールを奪ったら素早く前線へとボールを送り、左ウイングのマルシャルがアーノルドに対して積極的にドリブルで仕掛けるなど、リバプールを相当研究した攻撃で試合のペースを握る。

が、逆に先制したのはリバプール。前半の25分ごろからゲーゲンプレッシングを強め、前線からの追い込みでマンUのDFにプレッシャーをかけてCKを奪うと、中でフリーになっていた選手のマークに慌てて動いたポグバの振り上げた手にボールが当たって思いっきりPK。これをミルナーが豪快に蹴り込み、マンUにとっては何とももったいない失点をリバプールに与えてしまう。

マンUは後半からルーニー、20分にはマタとボールを持てる選手を投入してポゼッションを高めると、ゾーンとマンマークの使い分けが曖昧なリバプールの守備に対して、イブラヒモビッチが流れて出来たスペースにムヒタリアンやマタが走り込むなど、ダイアゴナルな動きでリバプールDFのマークを外す動きでチャンスを作るが、ラストプレイでミスをしたりクロスが合わなかったりでなかなかシュートまで持って行けない。

モウリーニョは31分にダルミアンを下げてフェライニを投入、パワープレイ気味の攻撃で打開を図ると、後半39分にそれまで再三右サイドを切り崩してきたバレンシアからファーサイドにいたルーニーにクロスが渡り、その折り返しをフェライニが頭に当てるもボールはゴールポスト、しかし跳ね返りを拾ったバレンシアが上げたボールを今度はイブラヒモビッチがきっちり決めてようやくマンUが同点ゴールを決める。

その後は互いにゴール前で攻め合う時間が続き、後半45分にはワイナルドゥムがフリーでシュートを打つチャンスがリバプールにあったがボールはGK正面に飛んで終わり、結局スコアは1-1で両チーム痛み分けのドローに終わった。

マンUはリバプールを研究していて戦術の狙いもきっちり当たり、チャンスも作っていたのに決定力不足と残念なミスでドローに終わってしまったのは不満な結果だっただろう。ここ最近は評価を高めてきたポグバにとっては久々に攻守ともに冴えない1日だった。とは言え、トータルでの試合の安定感を見ると間違いなく終盤にはきっちり優勝争いに絡んで来そうだ。

リバプールは負けなかったがクロップのチーム特有と言える、シーズン中盤の息切れ感が出ている印象。プレミアの過密日程の中で、怪我人をどう埋めてやりくりするか、ここから本当の手腕が問われるところだろう。