「これほどの大差になってしまった原因は、1に決定力、2に守護神」全国高校選手権 決勝 青森山田-前橋育英

どちらも盤石の守備力で勝ち上がって来た強豪同士という見ごたえのあるカードになった高校サッカーの決勝戦。しかし蓋を開けてみれば、なんと青森山田が5-0で前橋育英に圧勝するという意外な結果になってしまった。

しかし点差がチーム力を正確に表していたわけではなく、試合の序盤はむしろ前橋育英のほうに多くの決定機があった。前橋育英は、4-1-4-1のフォーメーションを取る青森山田に対し、アンカー横のスペースに攻撃陣が上手く入り込んで縦パスを受け、ボランチが前を向いてサイドへ展開して攻撃のリズムを作り出す。

前半5分にCKで青森山田GK廣末が飛び出したところを人見がヘディング、枠内へ飛んだボールはカバーに入った選手がなんとかクリア。16分には中盤でボールを奪ってから高沢が抜け出してGKと1対1になるが、GK廣末が素早く詰めてセーブと、前橋育英は連続して決定機を作り出すが得点ならず。逆に前半23分、鳴海のクロスをPA内で受けた高橋がトラップからすぐさまシュートを放つと、前橋育英の選手に当たってゴールイン、青森山田がワンチャンスで先制点を奪ってしまう。

その後もチャンスは前橋育英のほうに多く生まれ、35分に中央からのFKに松田陸がゴール前で合わせるものの枠を外れてしまい、44分にはCKがそのまま流れてゴール前1mのところで完全フリーだった角田の前に。しかしボールが角田の足元にすっぽり入り込んでしまい、その一瞬の遅れでクリアされてしまった。そしてまたまた逆に前半のロスタイム、青森山田が右サイドで抜け出し嵯峨がきっちりコースに決めてあっさり2点目。

これで焦りが生まれたのか、中盤が前掛かりになってバイタルが空きがちになってしまった前橋育英に対し、青森山田はGK廣末から正確なフィードが前線に供給され、そこを基点にして前橋育英を攻め込んでいく。後半12分に右サイドからのロングフィードを鳴海が胸トラップから反転シュートを決めると、その2分後にも廣末のゴールキックを郷家が頭でそらし、抜け出した鳴海が4点目を決める。

前橋育英も21分、24分と立て続けにチャンスを作り、30分には左サイドでの粘りから大塚がフリーでヘディングするがボールはバーの上でどうしても得点できず。試合終了間際には青森山田がミドルシュートで5点目というおまけ付きで試合終了。前橋育英にとっては、準決勝でも露呈してしまった決定力不足にとことん足を引っ張られる決勝戦であった。

あと少々残念だったのは、前橋育英GK月田が2点目で脇を抜かれた事に動揺したのか、3~4点目もセーブできたシュートをあっさり決められてしまった事。序盤のピンチをビッグセーブで凌ぎ、攻撃面でも多大な貢献をしていた廣末と比べると、やはりビッグマッチになればなるほどGKのプレイがモノを言うという事を改めて思い知らされる。

これで青森山田は高校選手権初優勝。今年は高円宮杯も優勝を飾り、ユース世代二冠達成、まさに青森山田の年になったシーズンであった。選手、関係者、青森県民の方々、本当におめでとう!