「普通のチーム、普通の監督になってしまったシティとグアルディオラ」イングランド・プレミアリーグ第19節 リバプール-マンチェスター・シティ

クリスマスも年末年始も関係なく続くプレミアリーグは、選手たちには大変だろうがウインターブレイク中のサッカーファンにとっては非常にありがたい存在である。てなわけで、高校サッカーの試合が無かった昨日は、元旦に行われていたリバプールとマンチェスター・シティの試合を見てみた。

まず試合を見てみて驚いたのが、バルサではポゼッションサッカーの見本というべきチームを作り上げ、バイエルンでは戦術狂いかというぐらいに対戦相手と試合展開によってコロコロとフォーメーションを変えていたグアルディオラが、シティでは何の変哲も無い4-2-3-1で、特にポゼッションをするわけではない戦術的には凡庸なチームを送り出している事である。

確かにGKはそれまでのジョー・ハートを放出してまで足元が上手いブラボをスタメンに据えたし、CBも対人に怪しさはあっても技術があるストーンズを使うなど、ポゼッションに対するこだわりを捨てたわけではないようだが、やはりボランチがヤヤ・トゥーレ、フェルナンジーニョではゲームメイクは出来ないし、コラロフ、サバレタという両SBは、ジョルディ・アルバやダニ・アウベス、アラバ、ラームといったバルサとバイエルンのメンバーとは技術で比べ物にならない。

実際、この試合で前半の8分に喫した失点も、コラロフのミスパスからカウンターを受け、最後もララーナのクロスに対してコラロフがワイナルドゥムに競り負けて決められたものだし、シティがようやく攻撃を組み立てられるようになったのは、トップ下のシルバやアグエロがサイドに流れてボールを受けるようになってからで、いかにシティでは後ろから前線へ縦パスが出て来ていないかが証明されている。

ただそれは選手だけの問題というより、プレミアリーグの特徴にも理由があるように思われる。プレミアリーグの試合はとにかく縦方向の切り替えが非常に早く、選手にポゼッションをするための時間をほとんど与えてくれない。審判もボディコンタクトに甘く、テクニックでボールをキープする選手はあっという間に潰されてしまう。ギュンドアンの怪我により、一時期はあれだけ対立していたヤヤ・トゥーレを起用せざるを得ないほど、グアルディオラはボランチにフィジカルを重視せざるを得なくなっているのだろう。

それに比べると、2シーズン目でかつ欧州カップ戦が無いとは言え、リバプールとクロップの親和度は非常に高い。クロップが得意とするゲーゲンプレッシング戦術はプレミアリーグの試合展開に適していたし、フィルミーノやコウチーニョ、マネ、ララーナの覚醒など選手の才能を引き出す能力はドルトムント時代と変わらず極めて優秀である。

グアルディオラは、この試合の後に監督業を早期引退する意向を示したと言われているが、既にシティでのモチベーションを失いつつあるのではないかと心配になってしまうような、火を吹くようなリバプールの勢いと比べると、何とも覇気の薄さが寂しい試合であった。