「サイドを使えず、同じ土俵に引きずり込まれた富山第一」全国高校選手権 2回戦 東海大仰星-富山第一

2回戦から3回戦は中ゼロ日という相変わらず異様なスケジュールで行われている高校選手権。違うチームの対戦が見たかったんだけど、大阪の読売テレビでの放送という事で、2試合連続で東海大仰星の試合を見ることになってしまった。

2回戦で鹿島学園を走力で破った東海大仰星のサッカーは過密日程でも変わらず、守備では4-4-2の3ラインをコンパクトに保って押し上げ、激しいプレスでボールを奪うと、サイドで基点を作って中にどんどん人が飛び込んでクロスに絡む、直球ストレートなサッカー。

対する富山第一はフォーメーション的には4-3-3で、ポゼッションで対抗するのかと思われたのだが、蓋を開けてみると4-1-4-1に近い形のゾーンで守り、攻撃時には中盤の選手が飛び出して4-4-2的になり、そこにボールを素早く送るという東海大仰星と似たスタイルのサッカーをやって来た。

そうなると、今期プリンスリーグへの昇格を決めた、練度の高さと勢いがある東海大仰星が上回るのは明らかで、前半の9分に右サイドでのパスワークから松井がクロスを上げると、中に飛び込んだ見野が合わせ、シュートはゴールポストに跳ね返ったが詰めていた新保が押し込んで東海大仰星が先制する。

前半はわずかシュート1本に抑えられてしまった富山第一は、後半7分に前田と高浪の2選手を同時投入、前線を完全な3トップにして東海大仰星の4-4ゾーンの間に3人が入る形にして来た。これによって、右ウイングの高浪のドリブルから富山第一が攻め込む形が増え始め、20分にはドリブルで切れ込んだ久保がシュートを放つも、東海大仰星GK宮本がギリギリで手に当ててボールは枠外へ。

逆に後半25分、東海大仰星は左サイドで基点を作ってから松山が横パスをスルーして裏に抜け出し、スライディングした富山第一の選手が上げた手にクロスが当たったという判定でPK。これをきっちり決めて東海大仰星が2-0とリードを広げる。

富山第一は長身選手を入れてパワープレイ気味の攻撃にシフト、35分にはFKからヘディングクリアが後ろに流れたボールに坪井が飛び込んでGKと1対1になるが、シュートは宮本の体に当たって得点ならず。試合はそのまま動かず、東海大仰星が準々決勝へと駒を進めた。

2回戦で見た時には単なる力技かなと思うところもあった東海大仰星だが、中ゼロ日で全く同じクォリティ、運動量を見せてのけるのは、やはりここまで来ると「強い」という印象を持ってしまう。準々決勝の相手は、プレミアリーグ4位で高校サッカーでは西の横綱と呼べる東福岡が相手。格上の相手に、東海大仰星が同じように果敢な攻撃を見せてくれるのか、楽しみにしたい。