「待望の初先発となった宇佐美は、チームに自身の価値を証明できたのか?」ドイツ・ブンデスリーガ第15節 アウグスブルク-ボルシアMG

前節の敗戦でシュスター監督が解任され、ユースチームを率いていたマヌエル・バウム氏が暫定監督として就任したアウグスブルク。その初戦となったボルシアMG戦ではいきなり先発で起用されたという事で、宇佐美のプレイに注目して試合を見てみた。

ボルシアMGのフォーメーションは表記上では4-2-3-1だが、マイボール時にはクリスチャンセンがCBの間に入った3バックになり、SBを高く上げて3-1-4-2の形でポゼッションをして来るスタイル。アウグスブルクは4-4-1-1なので、宇佐美は相手の右SBクラマーをマークするため、最初からSBに近い低いポジションでのプレイを強いられてしまった。そしてクラマーも、宇佐美が攻撃のために上がると同じようにマークをしていたため前半はほとんどボールが回って来ず、試合を通じてもボールタッチ数は22回と寂しい内容になってしまった。

前半はアウグスブルクの守備の前にボルシアMGはパスの出すどころが無く、ポゼッションしながらもボールを縦に入れられない展開が続いていたが、後半になるとサイドの動きが活性化し、逆に宇佐美も縦のスペースが出来てDFラインの裏を狙って走る場面も生まれて来たのだが、やはりすぐに間合いを詰められて自由にプレイはさせてくれない。しかし攻撃で貢献できない分、後半13分には対面のクラマーに激しいタックルを見舞って退場させるなど、守備面で何とかツヴァイカンプフの価値を見せていたように思う。

試合の方は、ポゼッションで上回って展開を優位に持ち込んでいたボルシアMGが、後半25分にPA内でフリーになったダフドが決定的なシュートを外したのに対し、そこまで枠内シュートがゼロ本だったアウグスブルクは、30分に右CKをヒンテレッガーが上手く頭でコースへ流し込んで先制、その後はボルシアMGのシュートを1本に押さえ込む堅い守備で逃げ切った。

宇佐美は後半42分まで出場し、チームが勝った試合で長く出場したという点では悪くない結果に見えるが、宇佐美自身のプレイ面での課題はまだまだ多い。この試合でのボールタッチ数は22回と、チームの他の攻撃選手に比べると一段低く、特にマークを受けた時のボールの受け方に工夫がなく、味方からの信頼もまだ低いという厳しい現実も突きつけられた。

クラブW杯での鹿島のように、FWがサイドに流れてSBを引き寄せて宇佐美が中のスペースに入ったり、シャルケでの内田とファルファンの関係のように、宇佐美が縦のボールを受けてキープして左SBマイヤーのオーバーラップに繋げるなど、個人だけではなくチームのコンビネーションで崩す形を身に付けないと、単に守備だけを頑張っているだけではまたサブに逆戻りだろう。まだまだ努力は必要である。