「鹿島が日本に教えてくれた、審判ではない”12人目の選手”を利用する意味」FIFAクラブ・ワールドカップ 決勝 レアル・マドリー-鹿島アントラーズ

昨日は鹿島の健闘が本当に嬉しかったし、後半44分に間違いなく2枚目のイエローで退場するはずだったセルヒオ・ラモスが、審判の政治的判断でカードを出されなかった事、ロスタイムにフリーで放ったシュートが枠を捉えられなかった事は悔しかったし惜しかった。

確かに、レアル・マドリーは試合開始からそんなにガツガツ来なかったし、前半9分にベンゼマが先制点を取った事でおそらく「楽勝モード」に入って流そうとしていた事はミエミエで、レアルが本気の本気を出したのは柴崎の逆転ゴールからクリロナのPKの後ぐらいと、延長に入ってからの時間帯だけかもしれないが、たとえチャンピオンズリーグの決勝であっても強豪チームが90分間全部本気を出しているわけではないので、間違いなく鹿島は大健闘したと言えるだろう。

ただ、個人的に感銘を受けたのは勝敗うんぬんよりも、あれだけマメロディ戦の前半にバタバタ、オタオタと動き回り、ポジションのバランスを崩して決定的なピンチを作りまくった鹿島の選手たちが、レアルとの試合では終始落ち着いてゾーンを構築し、誰かがアタックに行けば誰かがサポートし、互いに声を掛け合い、マークを適切に受け渡して120分間守備の穴を作らないように集中していた事である。

そして攻撃でも、レアルの選手に詰められてもしっかりとボールをキープし、味方がすぐにフォローしてトライアングルを作ってパスを繋げる、たとえマークを受けて孤立しても、スペースがあればボールをそちらに流して走り、レアルのファールを誘ってFKに繋げる。あれだけ代表戦で視野の狭いプレイしか出来なかった柴崎も、何度も見事なサイドチェンジを逆サイドへ飛ばすなど、鈴木優磨を除けば(笑)鹿島の選手たちは本当に全員が落ち着いて、ピッチ全体が良く見えていたように思う。

今まで、日本のサッカー界は、やたらと個人で劣る分はチーム力で世界と対抗するなどと言って、パスサッカー、全員サッカーを強調してきたが、ザックジャパンでの「自分たちのサッカー」を見れば分かる通り、狭い局面をいかにして小手先の手段で打開すかという、相手と自分で2対2程度の矮小な問題に収斂させてしまったのが実態だと言える。

しかしサッカーは、100×70mのピッチを22人でプレイするスポーツであり、昨今の攻守ともにコンパクトな状態で戦う場合は、スペースを利用する、スペースを管理するという概念が不可欠である。レアル戦の鹿島は、個人でもチームでもスペースを有効に利用していたという点で、本当に日本のチームとしては画期的な、サッカーはスペースを12人の選手(Not審判)として考えるチームスポーツなのだという原則を示してくれたように思うのだ。

それだけに、このたった4試合で鹿島がたどり着けた領域、経験を得るチャンスを他のJリーグチームがほとんど持てないという事実が本当にもどかしい。来年からはクラブW杯は日本開催では無くなり、アジアのチームはACLに優勝するしか、この舞台に立つことは出来ないのだ。

ずっと前から言い続けている事だが、日本勢がなかなかACLで勝てなくなっているのは、単に経験が不足しているからである。代表で経験を重ねている選手はだいたい海外にいるし、Jリーグに来る外国人選手も代表クラスは少ないし、彼らもやはりJリーグに漬かって行く過程でフィジカルサッカーへの適応力が落ちてしまう。ACLの試合で経験を積んでもリーグでリセットされてしまうし、慣れた頃にはグループリーグ終盤、決勝トーナメントに勝ち上がっても選手層の薄さや外国人選手の個人能力でやられてしまう。

でも全てのJリーグチームが鹿島のように経験さえ詰めば、銀河系軍団にもある程度チームで対抗できるし、ACLのアウェイでもいちいち動じず、毎年優勝争いに加わる事が出来るはずだ。鹿島が日本サッカーにもたらしてくれたクリスマスプレゼントを、Jリーグの中にどう血肉として取り込んで行けるのか。単なる快挙、奇跡で終わらせてしまったのでは何の意味も無い事を、協会やJリーグは肝に銘じて、真剣に今後のプランを考えてもらいたい、

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