「やっぱり酒井高徳のボランチは、思考がドイツ人のように見える」ドイツ・ブンデスリーガ第14節 ハンブルガーSV-アウグスブルク

酒井高徳がキャプテンに就任してから何故か負け無しのHSVが、最近の公式戦12試合でわずか1勝と不調のアウグスブルクをホームに迎えての試合。

フォーメーションはどちらも4-4-1-1のマッチアップで、一応守備時にはゾーンをセットするのだが、実質的には全てのポジションで激しいツヴァイカンプフが繰り広げられ、ボールを奪うととにかく前線へと早くボールを送るという、ドイツ2部のようなサッカーが展開された。

そんなわけなので、戦術的な見どころというのはほとんど無く、シュートの場面はたまたま肉弾戦のこぼれ球がゴール前に落ちるか、セットプレイぐらいしか無かったのだが、前半44分にHSVのホルトビーが相手に首を抱えるように倒された事に激高、肘で報復をしてしまって一発退場。

これでHSVは4-4-1にせざるを得なくなり、そうなるとパスの出どころが抑えられず、サイドを崩されて2度ほど完全な決定機を作るのだが、どちらも「急にボールが来たので」クラスの信じられないシュートミスで得点ならず。

すると後半21分に、ホルトビーを退場に追い込んだアウグスブルクのコールが中央で酒井高徳の足を刈ってしまい2枚めのイエローで退場。その直後に、ミュラーのドリブル突破からのシュートがゴールポストに当たり、跳ね返りをコスティッチが上手く流し込んで、逆にHSVが先制する。

逆転を狙うアウグスブルクは宇佐美を投入、前節は攻撃への切り替えが遅かった宇佐美だったが、この試合ではそれが改善されて何度か攻撃の基点となるも、守備を固めるHSVに対して崩しきるまでは行かず、試合は1-0でタイムアップ。この試合後にアウグスブルクのシュスター監督が解任されるという事態になった。

酒井高徳は、解説の人が言うにはあまりビルドアップに参加するなという事らしく、終始バランスを取りながらボールの状況を判断してカバーに行ったりスペースを埋めたりと、サッキのゾーン・ディフェンスのような精緻なシステムはやってないが、ボールにあまり食いつかないポジショニングといい、安易なバックパスをせずに粘って前にボールを出そうという姿勢といい、今までの日本人ボランチらしくないプレイぶりという印象。やっぱりドイツ人の血が入っているんだなと改めて思わされるね。

宇佐美はオフ・ザ・ボールのクォリティが向上しているのは確かで、それが新監督の目にどう判断されるか。暫定的にユースチームを率いるマヌエル・バウム氏が就任するようだが、彼を活かせる戦術をやってくれる監督である事に期待したい。