「インテル混迷の象徴になってしまった、長友のオウンゴール」UEFAヨーロッパリーグ グループK サウサンプトン-インテル

現在リーグ戦14位と沈んでいる状況を受けて、フランク・デ・ブールを解任して下部組織を率いていたヴェッチ氏を暫定監督に据えて臨んだインテルのヨーロッパリーグ・サウサンプトン戦。しかし当然ながら1試合では内容が改善されるわけではなく、長友のオウンゴールが決勝点となって1-2の敗戦になってしまった。

インテルは今までの4-3-3フォーメーションから4-4-1-1に変更して臨んで来たのだが、戦術に関する選手の混乱は相変わらずのようで、自陣にボールが入って来たら各自がそれぞれの判断でゾーンを守るかマンマークに行くかを決めているので、そこここでポジションがかぶって別なところに守備が空き、慌てて誰かが穴をカバーしに行くというマッチポンプをひたすら続けていた。

長友は左サイドで先発したのだが、サウサンプトンが中盤ダイアモンドの4-4-2のフォーメーションを取って来て、長友のサイドには2トップの1人、タディッチが常に張っていたので長友はそのマークに付く事が多く、しかしサウサンプトンはサイドにFW、インサイドハーフ、SBと3人で分厚く攻めて来たため、長友がタディッチを抑えてもすぐトライアングルを作られてパスで抜かれてしまうので、マークとカバーの連続で守備に走り回るだけでほとんど攻撃参加が出来なかった。

しかしサウサンプトンは圧倒的に攻めながらも、相変わらずロドリゲスとタディッチのFWに決定力が無く、インテルGKハンダノビッチによるいつものナイスセーブ連発で得点できないでいると、前半33分にサウサンプトンはファン・ダイクが1対1で抜かれてしまい、クロスのこぼれ球を拾ったイカルディがコースに決めてインテルが個の力でワンチャンスをものにしてしまう。

前半終了間際にはPA内でペリシッチがハンドを犯してPKと判定されるが、これもハンダノビッチが足一本で止めて防いでしまう。そして後半開始からサウサンプトンはさらにアクセルを踏み込み、インテルをゴール前へ釘付けにしながらも点を決められず、逆にインテルが盛り返してこれはサウサンプトンの勝ち目は薄くなったかなと思われたのだが、後半19分にCKからレドモンドのシュートがバーに当たって跳ね返ったボールをファン・ダイクが押し込んでようやくサウサンプトンが同点。

さらに後半24分、サウサンプトンが左サイドでの崩しからクロスを上げると、これがゴール前でカバーしていた長友の足に当たってオウンゴールとなってしまう。この場面、クロスが味方の足に当たってコースが変わり、それをミランダがクリアしようとして空振りしたボールが当たってしまった形で、おそらく長友はミランダがクリアすると思い込んだしまったのだろう。責任があるとは言え、不運なオウンゴールだった。

これで長友もある意味吹っ切れたのか、そこからガンガン攻撃参加をしてインテルが反撃体制に入ったのだが時既に遅し。サウサンプトンがきっちり守りきってホームでの勝利を飾った。これでサウサンプトンは勝ち点7の2位、インテルは勝ち点3の最下位に落ち、残り2試合での逆転はかなり厳しくなってしまった。

とにかく今のインテルは守備戦術がまともに機能していないので、下手に守ろうとするとこの試合のように選手が右往左往して混乱するだけになってしまう。前回勝利したトリノ戦のように、攻撃的に戦って相手を押し込み、カウンターを守備陣の個人能力で防ぐほうが理にかなっていると思うのだが。そしてサウサンプトンの吉田は先発フル出場。お約束で縦パスのやらかしは1度あったが(笑)、それ以外は終始落ち着いた対応で合格点の出来。代表でもよろしく。