「岡崎とレスターの完全復活と喜ぶにはまだ早い」イングランド・プレミアリーグ第9節 レスター・シティ-クリスタル・パレス

最近は出番が少なかった岡崎がリーグ戦のクリスタル・パレス戦では久々に先発し、決勝点となる2点目のゴールを決めた事で、まるでチームの救世主になったような騒がれ方をしているのだが、実際に試合を見てみるとレスターはこれで良く勝ったなというぐらいの内容で、もし岡崎に得点が無かったら今度こそ干されかねないような危うさがあった。

レスターはエースのヴァーディが怪我を抱えていてベンチスタート、スリマニと岡崎の2トップに、ムサ、ドリンクウォーター、キング、マフレズが2列目とメンバーを入れ替えて臨んだのだが、前半30分までは完全にアウェイのクリスタル・パレスに主導権を握られてしまった。

その主な原因は、既に何度も語られているようにカンテの不在。レスターは、不動のレギュラーCBであるフートとモーガンにスピードが無いのでラインが上げられず、以前であればカンテが広大な中盤を走り回ってボールホルダーにチェックを仕掛け、攻撃を遅らせている間に岡崎や他の選手が戻ることでボールを奪っていたのだが、ボランチで先発していたキングはそういう事前察知能力が低く、ムサもあくまで走れるFWであって純粋なSHじゃないので、かろうじてスペースを埋めてリトリートさせるのが関の山であり、中盤でポンポンと繋がれて最後はベンテケへのクロスという攻撃で何度もレスターゴールに迫った。

レスターは、開始直後に岡崎がGKにプレゼントパスをもらって、浮き球でGKの頭上を越すシュートを打ったもののコースが外れたシーン以外に全く良いところは無かったのだが、前半の終わりごろからクリスタル・パレスのプレススピードが落ちて来て、ようやく岡崎が中盤に降りて攻撃の組み立てに絡むようになって盛り返し始めると、42分にムサのドリブルから岡崎、スリマニと潰されながらも最後はムサにボールが渡り、きっちりコースに蹴り込んでレスターが劣勢の中でワンチャンスをものにして前半を折り返す。

そして一進一退の攻防が繰り広げられていた後半18分、カウンターから岡崎を経由して左サイドへ展開、ドリンクウォーターが放ったクロスはGKがかろうじて防いだものの、こぼれ球をPA内に遅れて走り込んで来た岡崎がダイレクトでニアを抜くシュートを決め、レスターにとっては流れ的に大きな2点目をゲットする。

そこからはレスターも主に引いて守る形が多くなり、岡崎も中盤に吸収されてボールに触る回数が激減、クリスタル・パレスに25分間で10本のシュートを浴びるなど防戦一方になるが、GKシュマイケルが至近距離からのシュートをことごとく弾き返して得点を許さず、逆にレスターはCKからフクスがスーペルゴラッソなボレーシュートを決めて、岡崎とあっち向いてホイのゴールパフォーマンス。レスターは終盤に右サイドを崩されてキャバイエに1点を返されたものの、何とか逃げ切ってリーグ戦では4試合ぶりの白星を飾った。

岡崎は、とにかく得点という結果が出た事は非常に喜ばしいが、やはりカンテがいない中盤では相乗効果が薄くなるし、後半途中から出てきたヴァーディのほうがスリマニよりも明らかに相性が良かった様子で、これで変に救世主扱いされるのは怖いし本人にとっても不服だろう。近々復帰が見込まれているメンディがボランチに入った状態で、改めて岡崎が何をチームにもたらさせるかを見てみたいところだ。