「ゴールは決めたが、あまりにもリスキーな武藤のプレイスタイル」UEFAヨーロッパリーグ グループC マインツ-ガバラFK

初戦のサンテティエンヌ戦を1-1のドローで終えて迎えたマインツのヨーロッパリーグ第2戦は、マインツから3700km離れたアゼルバイジャンのガバラFKとのアウェイ戦。リーグ戦ではサブの武藤だがヨーロッパリーグは1戦目に続いての先発。

ホームのガバラは、フォーメーション的には4-1-4-1のゾーン・ディフェンスで、1トップのダボにロングボールを蹴って2列めがセカンドボールを狙って猛然とプレスをかける戦術。序盤のマインツはその勢いに押されて、クロスからのヘディングをポストに当てられるなどのピンチを作ったが何とか無失点で切り抜ける。

しかしガバラはDFライン自体はあまり高くなく、守備に回った時に2列目の戻りが間に合わないのを見越して、マインツは上手く相手のSBとSHの間のスペースを使って基点を作り、左サイドを中心に数的優位を作りながら、中央や逆サイドに幅広く展開して攻める攻撃が機能し始める。こういう形は日本代表も見習うべき方法だ。

マインツはボールを支配しながらもデ・ブラシスらがなかなか決定機に決めきれずジリジリとした展開になったが、ようやく41分にバイタルで縦パスを受けたビュスマンからのスルーパスをさらに武藤が受け、ボールを1歩持ち出してからのシュートがGKの手をかすめて決まり、マインツがようやく先制点を奪う。

ところがリーグ戦でもそうだが守備が辛抱しきれないのが今のマインツで、後半も序盤からチャンスを作りながらも得点できないでいると、12分にはヘディングのクリアが後ろに飛んで相手に渡ってしまい、GKレッスルが慌てて飛び出して相手とぶつかってPK。その5分後にはセットプレイ後のカウンターから、ダボにあっさりキープされて裏に抜けたゼニョフにパスを出されてあっさり逆転を許してしまう。

まるでこれはU-16の日本対イラクだなと思っていたが、幸いにもマインツの選手は退場せず、後半22分に入ったコルドバがCKからファーストタッチで押し込んで同点に追いつく。これで落ち着きを取り戻したマインツは、32分にこれも交代で入ったエズトゥナリが右サイドからドリブルで切れ込むと、ガバラのGKはゴール前に入った武藤とコルドバに気を取られ、エズトゥナリはその意識の逆を突いてニアサイドにシュートを決めてマインツが再逆転。そのままマインツが逃げ切ってアウェイでの勝利を飾った。

ただ残念なことに、先制点を挙げてMOMになった武藤は、後半36分にゴール前で相手DFと交錯した時に右膝を痛めて交代。まだ症状の程度は分かってないが、これで10月の代表招集辞退は決定、さらに再び重症の可能性もあるそうだ。

武藤は体格に勝る相手に当たり負けしないように、重心を低くして足を伸ばして踏ん張って競り合う事が多いのだが、このシーンでもゴール前でクロスに対して足を伸ばしたところに相手が覆いかぶさった形になってしまったわけで、気持ちは分かるが状況によっては岡崎のようにあえて倒れる選択も取らないと、いつかは再起不能になってしまいそうで心配する。もともとクレバーな選手なのだから、そういう面でも将来を考えて欲しいところである。