「何故ブラジルは、日本戦後に突然弱くなってしまったのか」リオ五輪サッカー男子 グループA ブラジル-イラク

大エースのネイマールにコパ・アメリカを回避させ、オーバーエイジで招集してまで必勝体制でリオ五輪に臨んだブラジル。日本とのテストマッチでは2-0と余裕の勝利を挙げて優勝へ邁進するかと思われたのだが、蓋を開けてみれば何とグループリーグで未だ無得点、アジア3位のイラクに7分のロスタイムをもらいながらスコアレスドローという大失態、一気に大ピンチへと陥る羽目になってしまった。

よほど日本がヘボかったのか、ブラジルが弱体化したのか一体どちらなのかと思ってブラジルとイラクの試合を見てみたのだが、出てきた答えとしては紛れも無く「両方」。

イラクのフォーメーションは4-4-1-1で、とにかく自陣にコンパクトなゾーンを作ってブラジルにスペースを与えず、ネイマールとジェズス、ガブリエルの3トップにはビッチリマークを付け、ドゥグラス、ゼッカのSBのオーバーラップにはSHが最後までマークを外さず付いて行くなど、徹底的にブラジルのサイドを封じ込める作戦に出てきた。日本は寄せてもブラジルのパスコースを切るだけで実効性は無かったが、イラクはさすがにブラジルに前を向かせないように粘り強い対応をしていた。

その分、イラクの前線2人はブラジルの中盤3人にプレスをかける仕事をせざるを得ないので、ブラジルのDFは比較的自由にボールを持てたのだが、ブラジルの3トップ、時にはインサイドハーフを加えた4人が前線に張り付いたままで全くボールを受けに下がって来ず、仕方なくブラジルのDFは中盤にゆっくりボールを送って組み立てるだけで、攻撃に全くスピード感が無い。ブラジルは何とかネイマールにボールは集めようとするのだが、スペースが無い中でイラクの選手2~3人に囲まれたのでは、さしものネイマールも有効なプレイは出来ない。

それでも、前半43分にはレナト・アウグストがクロスバーに当てるシュート、後半終了間際には珍しくスピードに載ったサイド攻撃から、レナト・アウグストがGKが飛び出した後でガラ空きのゴールへフリーでボレーを放つが、ボールは無常にも枠の外。ブラジルにかろうじてあった数少ない決定機も決めきれず、結局南アフリカ戦のシュート21本に続き、イラク戦でもシュート20本を放ちながらスコアレスドローに終わってしまった。

日本代表もアジアの格下相手にこういう試合をよくやらかすので気持ちは分かるのだが、やはりあまりに気持ちが焦って最初から前がかりになり、かえって自分たち自身がプレイをするスペースを潰す結果になってしまっているのだろう。最終戦の相手は首位のデンマークで、ここまでの試合のようにガチガチに守って来る事は無いだろうから、悲観するにはまだ早い。相手をじっくりと待ち構えてネイマールを軸としたカウンターを仕掛けるスタイルで逆境を跳ね返して欲しい。