「長友がガンガン上がりまくるのは、チームにとって危険なサイン?」イタリア・セリエA第35節 インテル-ウディネーゼ

長友がサブになったジェノア戦で痛恨の敗戦を喫してしまい、チャンピオンズリーグ出場権に赤信号が点滅してしまったインテル。

今節のウディネーゼ戦では、長友が先発に復帰して右SBを務め、左SBはフアンが入った4-2-3-1。いつものダンブロジオとのSBコンビであれば、比較的攻守にバランスを取る事が多い長友だが、今回は本来CBのフアンとあって最初からガンガンサイドを駆け上がる長友らしいプレイを見せる。が、5バックのウディネーゼはWBのエデニウソンとCBのフェリピが2人できっちり抑えこみ、長友のクロスはことごとく相手に当たってチャンスにならず。

逆に前半9分には、一発のロングパスで走りこんだテレオが、後ろからのボールを直接叩き込む芸術的なボレーを決め、その後も何度か決定的なシュートを放つもののウディネーゼGKカルネジスに阻まれて得点ならず、インテルに嫌なムードが漂い始めた前半36分、左サイドでの展開からフアンがクロスを上げると、ボールを受けたイカルディがボールをキープして横に流し、走りこんだヨベティッチが押し込んで同点に持ち込む。

後半になると、インテルがさらに攻勢を強めて15分間に10本のシュートを浴びせるもののゴールにはならず。業を煮やしたマンチーニ監督は、後半19分にペリシッチを投入、長友が左SBに移ってウイングだったビアビアニーが右SBになる攻撃的布陣にシフトする。するとその采配が見事に当たり、後半30分にゴールラインを割るかと思われたスルーパスにビアビアニーが追いつくと、クロスをヨベティッチが胸に当てて押し込みインテルがようやく逆転。

その後は反撃に出たウディネーゼに対してインテルが守勢に回る時間が続き、ロスタイムにはFKからサパタが決定的なシュートを放つもののインテルGKハンダノビッチがボールの跳ね返りに反応して切り抜けると、その直後に途中出場のエデルが一発のパスから抜け出して3点目のダメ押し。インテルが何とかチャンピオンズリーグに望みをつなぐ勝利を手にした。

とは言え、インテルにとっては来期も見据えた上で課題も多い試合だった。ナポリ戦のように、相手が攻めて来るチームだったらイカルディのスピード、バルカン半島の選手を並べた2列目の運動量が活きるのだが、5バック戦術を採るジェノアや今回のウディネーゼのように、固く守る相手だと前線での基点不足が顕著になり、ビルドアップがサイド頼みになってしまう。

だからこそ長友が重宝されているわけなのだが、やはりそれだけでは相手も守備の狙いが定めやすくなってしまうし、ボールが縦に入る事で逆に長友の上がりも効果的になるわけだから、やはりバランス良く攻められるようにならないと、例えチャンピオンズリーグ出場権が取れたところで展望は描きにくい。ブラジルW杯ギリシャ戦もそうだったが、長友がガンガン攻撃参加するのは傍目には楽しいが、チームにとっては攻撃が上手く行っていないサインでもある。それでクロスが上手けりゃいいけど、そうじゃないからね(笑)。

インテルにはここに来て突然身売り騒動が出ているし、イカルディやハンダノビッチ、ミランダ、ムリージョといった主力選手へのオファーも噂されている。インテルがヨーロッパリーグの順位に留まってしまい、選手の流出でまたチームの作り直しという事態は避けたいところなのだが・・・